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オーナー社長と貸付金⑤

第94号(2017年09月1日発行分)

執筆者7

シリーズ最後となる今回は「貸付金の資本化=デット・エクイティ・スワップ(通称DES)」について解説します。

デット・エクイティ・スワップ(DES)とは

端的にいってしまえば、オーナー社長の貸付金を資本金⇒株式に振り替えることです。
 仕訳では

という形になります。
 ただし、ここで問題となるのが、(オーナーから見た)貸付金の回収可能額が額面1千万円かどうかということです。
 もし、回収可能額500万円ならば、すべて資本化ができず、差額の500万円は(会社から見れば)得をしたことになるため、「債務消滅益」として課税されることになります。
 近年では、DESにより発生が予測される「債務消滅益」についての説明がなかったとされる事例(この点、税理士側からは説明しているとの主張あり)などもあり、税理士としては慎重に取り扱う必要があります。

DES施策前後の問題点

DESをしないまま、オーナー貸付金が残ったままの相続税評価については、どうなるでしょうか。
 結論から言うと、(通達より抜粋)①手形交換所において取引停止処分を受ける②会社更生手続きの開始の決定がある③民事再生法の規定による再生手続き開始の決定があったときなど(中略)会社が相当厳しい状況下にあって初めて、それらの状況を考慮し、貸付金(=回収可能額)の評価額が下がります。
 判例においても、相当の悪化状態でないと評価額が額面を割ることはありません。
 一方、DES時の貸付金の評価額は、原則、会社の財産処分価額(=回収可能額)であり、当該金額が貸付金を下回っていれば、その差額について債務消滅益が発生することになります。
 すなわち、DES時では、その時点での会社の財産を処分したときの価額(=回収可能額)に留まり、相続時では、当該処分価額に留まらず、その時の返済状況もしくは将来の回収可能性も加味するというわけです。
 納税者側から見れば、DES時では貸付金を少なく見積もられることから、「債務免除益」が発生しやすく、相続時ではその時点での会社の処分価額に留まらず、将来の予測をも加味して評価するので、評価額は下がりにくい状況にあります。いずれも納税者にとって、不利な感はあるような気がします。

資本化するときもリスクあり

DES=貸付金を資本化する=株式を発行する。ということになりますので、何株発行するかが問題となります。具体的には、貸付金を適正に評価する。DES後の1株当たりの時価を評価する。適正に評価された貸付金÷DES後の1株当たりの時価=交付する株式数……となります。
 この交付株式数が適正でないと他の株主に対し贈与の問題が発生します。

具体的検証

ある会社をオーナー社長の相続税の観点から検証してみました。財産が貸付金から株式にどのように変化するかわかります。また、その結果、相続税の節税が図れることがわかります。

最後に

 オーナー社長の貸付金について、シリーズ①から⑤にかけ解説しました。
 肝心なのは、どの会社がどの手法に最も合うか。また、常にお客様とコミュニケーションをとりながら進めていくことだと思います。

税務総合戦略室便り 第94号(2017年09月1日発行分)に掲載

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