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税務総合戦略室 室長通信 第四十四回 
社長の目が行き届かないリスク

第77号(2016年04月01日発行分)

執筆者1

社員に任せる決断

「自分の会社のことは誰よりもわかっている」というのがオーナー社長だと思います。
 しかし、会社が成長発展を続けるうちに、社長の目がすべて行き届かない状態がどうしても発生してしまいます。
 創業した当初は自分自身で営業、発注、納品、回収、資金繰り、経理まですべてを行っていて、取引をすべて把握している状態ですが、いつまでもそのようにはしていけません。
 お得意様が増え、地方に営業所を展開し、さらには海外進出までも行うような状況になるにつれ、いずれ「社員を信頼して任せる」という決断をせざるを得ない時期がやってきます。
 すべてを自分自身でやらなければ気が済まないという方もいらっしゃいますが、残念ながらそれではどこかの時点で限界を迎え、それなりの規模で会社の成長は止まってしまうでしょう。

信頼して任せることのストレス

ところが、信頼して任せた結果、おそらく社長は大きなストレスを抱えることになります。
 経営者と従業員の間には埋めようのない大きな能力の差があります。自分の思い描く理想どおりに社員は動いてくれません。誤った判断の結果、会社に損害を与えてしまうということもあるでしょう。我慢に我慢を重ね、じっと社員の成長を願う日々が続くのかもしれません。
 それだけではなく信頼していた社員に裏切られるという事態までも往々にして発生してしまいます。
「売上代金の着服」「架空・過大発注による横領」「商品の横流し・盗難」など数々の不正が世の中の多くの企業で発生している事例は報道を見ても枚挙にいとまがありません。
 信頼していた人物に裏切られたことのショックは計り知れません。社内の雰囲気も最悪になってしまうでしょう。
 経営者は従業員が不正を行うことのできる環境を作ってはいけません。不幸な社内不正を防ぐためには、不正防止の仕組みを作って実行を躊躇させることが大切です。

会社のルール作り

組織が大きくなってくると「内部統制」の必要性があるといわれます。
 内部統制とは、組織が行う業務の適正化を確保するために様々な体制を構築していく手順であり、通常、「相互チェック」(内部牽制)と「企業ルール順守の確認」(内部監査)を合わせたものになります。大会社ではこのシステムを整備・運用していくことが法律で義務付けられていますが、中小企業においても「会社のルール」を作っ
ておく必要があります。
「まだ、手間をかけてそこまでしなくても良い」と考えるかもしれませんが、オーナー社長もいつかは必ず会社から退き、事業を次の世代にバトンタッチする時がやってきます。事業承継のための後継者選びや自社株対策も大切ですが、創業社長の経営理念を次の世代に継承していくことも企業が永続していくためにはとても大切なことです。今のうちに社長の理念が込められた「会社のルール」を作り、そのルールが会社全体で守られ続ける体制を築いておかなければなりません。
 きちんとした社内ルールを整備することで、ことさらに監視しなくとも自然に内部牽制が働くような仕組みづくりを作り上げることが可能になります。
 ルールをどのように構築してゆけば良いのでしょうか。
 会社の状況はそれぞれ異なりますから、その会社にあった実行可能で現実的な形に落とし込んだ社内規定を整備していかなければなりませんが、一番大切なことは社長自身の経営理念や経営方針に沿ったルールを作るということではないでしょうか。
 社員は営業担当、仕入担当、納品担当、経理担当それぞれの立場で言いたいことが異なります。自らの部署の都合を優先して主張し、他部署と敵対する・協調しないというケースは多くの会社で目にするところです。
 経営者は社員が一致団結して協力し、同じ方向を向いて目標達成に努力する雰囲気を作らなくてはなりません。同じ方向を向けない社員を抱えていては成長のブレーキ・抵抗勢力になってしまい、社長にとっても大きなストレスのもととなります。
 従業員の気持ちがわからない経営者は上手に人を使うことができません。社長の強烈なリーダーシップで会社の方向性を指し示し、社長の描く目標を数値化し、それらをルールの形に落とし込んだうえで、社員全員が社長の考えに共感・共鳴して目標を実行することに向かってまい進したとき、そのエネルギーはものすごく大きなものとなります。
 仕事柄、多くの会社をご訪問させていただきますが、成長を続ける会社は社内の空気が違うように感じます。社員の方が来客者を迎える際にはサッと立ち上がり、大きな声で笑顔の挨拶をしてくれます。逆に社内の風通しが悪い会社では、社員の方の声も小さく、笑顔がなく、雰囲気も暗く感じます。
 着服・横領などの行為はもちろんですが、定められた会社のルールから逸脱することも一種の不正であり、懲戒処分の対象となる行為です。せっかく決めた会社のルールを形骸化させず、浸透させるためにはやはり社長のリーダーシップが必要です。ルールを守らない社員には何らかのペナルティを科さなければ、ルールを順守している他の社員からの不満の原因となります。

ルール順守の確認

人に任せるようになっても社長が会社の状況・数字を常に把握しておかなければならないのは当然のことです。
 ところがご契約し、様々なお話をお聞きする中、自社の財務内容がどのようになっているのか、数か月先の資金繰りの状況がどうなっているのか、正しく把握していない社長が意外と多いことに驚かされます。特に営業中心で、イケイケどんどんで急成長を続けてきた会社の社長にこのような傾向が見られます。
 これはとても恐ろしいことです。暗闇の中で経営をしているようなものだからです。
 そうはいっても、忙しくてすべてに目配りすることはとても無理だという方もいらっしゃるでしょう。
 大企業では「内部監査室」などの部署が、嫌われ者となって内部統制が保たれているか否かについて社内を監視する業務を行っています。しかし中小企業ではコスト的に専任でそのような業務にマンパワーを割くことは不可能です。また、経理部等の社員にとって兼任であっても「身内が身内を暴く」ように踏み込んだチェックを行うことは非常に困難です。
 長年付き合っている顧問税理士が「かかりつけの医者」のように会社の状況や変化を確認して適切なアドバイスをしてくれることが望ましいのですが、往々にして税理士による監査は会社の表面的なオモテの姿をなぞっているのに過ぎないように感じます。
 請求書・領収証などの原始記録と帳簿の照合による監査だけでは本当の会社の実態はわかりません。
 実際に今、社内で何が起こっているのか。社内ルールは守られているのか。真実の姿(ウラ)を把握するためには、もっと突っ込んだ確認・調査が必要なのです。
 売掛金が各取引先にどれだけあって、その回収がいつ行われるのか。従業員が営業成績をあげるために架空の売り上げを作っているケースは意外と多いのですが、その場合、入金がされないわけですから当然、会社の命綱である資金繰り計画に影響を与えます。
 社長が確認した稟議書を経ていない支出はないか。社内でルール化した利益率を満たしていない取引はないか。調査的感覚を持った監査を定期的に実行することが求められます。
 私達『税務総合戦略室』では元国税調査官ならではの「職業的猜疑心」をもって、社長の代わりに会社のオモテとウラを一致させる実態確認調査を行います。
 成長した結果として、すべてに社長の目を行き届かせることが難しくなった会社にとって「内部監査室」の代わりとして、「社長の目」の代わりとして私達をご活用いただきたいと思います。
 私達は社員の方に嫌われてもかまいません。必要があればどこの部署でも、営業所でも、店舗でも、在庫を保管した倉庫にも赴いて実態を確認いたします。
 経験上、違和感を持つ部分があれば、納得のいくまで踏み込んで真実の姿を把握するよう努めます。
 社長が安心して経営していけるよう社内ルールの不備や内部統制の穴があれば、その改善策を会社とともに考えてまいりたいと思います。

税務総合戦略室便り 第77号(2016年04月01日発行分)に掲載

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