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金融商品と税金(7)

category: その他
第92号(2017年07月01日発行分)

中島 健雄

前回は、投資に伴うリスクの基本的なコントロール手法である分散投資について説明しました。投資にはリスクがつきものですが、リスクをうまく抑えながらリターンを追及する必要があるため、一つの商品に集中して投資するのではなく、値動きの異なる複数の商品に分散して投資する分散投資が有用です。
 今回は分散投資についてもう少し詳しく説明したいと思います。

ポートフォリオ

投資した資産の組合せをポートフォリオといい、分散投資によるリスク軽減効果をポートフォリオ効果といいます。例えば、期待収益率が5%で、標準偏差が0・8である商品Aと期待収益率と標準偏差が商品Aと同じで値動きが異なる商品B(すなわち、期待収益率が5%、標準偏差が0・8で相関係数が1未満)がある場合、Aだけに投資するよりも、AとBに分散して投資したほうが、期待リターンは5%と変わりませんがリスクはAだけに投資した場合と比べ軽減されます。これは、AとBの値動きの相違によりAとBの収益のブレが相殺されるためで、相関係数が小さくなるほどリスク軽減効果は大きくなります。
 例では、商品が2種の場合ですが、商品の数が増えても値動きの異なる(相関係数が1未満)の商品を組み合わせて構成されたポートフォリオ全体のリスクは、ポートフォリオを構成している証券のリスクの加重平均(投資割合でウエートを付けたリスク)よりも小さくなります。
 ではどのように商品を組合せると投資効率が高いポートフォリオになるのでしょうか。商品の数は多く、また、組合せの数も無数にありますが基本的な考え方について説明いたします。

効率的フロンティア

全ての組合せのパターンの中で、投資効率の高い組合せを「効率的フロンティア」といいます。例えば、リスク(標準偏差)が0・1となる組合せは無数にありますが、その中でリターンが最も高くなる組合せがあります。同様にリスクが0・2の場合、0・3の場合等でも最もリターンの高い組合せがあります。このようにリスク水準に応じて最もリターンの高い組合せ(ポートフォリオ)を繋げたものが「効率的フロンティア」と呼ばれ、一般に縦軸に期待リターン、横軸にリスク量をとり図示します。(左図参照)
 投資はノーリスク・ノーリターンであり、また、高収益な投資ほど機会が少なくなるのが一般的なため、効率的フロンティアは右上がりの曲線となります。

投資は、資産状況や年齢によって許容し得るリスクや目標とするリターンが異なるため、自分の許容できるリスク量の限度内で最も効率的なポートフォリオ(効率的フロンティア上の資産配分)を構成することが望ましいと言えます。
なお、効率的フロンティアは、シャープレシオや相関係数のように簡単には算定できません。エクセルでも算定できないことはありませんが複雑な計算が必要となるため、通常は専門の投資分析用のソフトを用いて算定します。証券会社や銀行等の金融機関では、通常投資分析用のソフトが用意されているので、目標とするリターン、許容できるリスクを説明し、モデルポートフォリオを作成してもらうと良いかもしれません。
 また、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用の指針となる基本ポートフォリオや四半期ベースの実際のポートフォリオを公表しているため、参考にされるのも良いかもしれません。
 ポートフォリオを考える場合には、地域の分散(日本と外国、先進国と新興国等)、商品の分散(株式と債券、金や石油等の商品、REIT等の不動産等)、通貨の分散(円と外貨、ドルやユーロ等の先進国通貨とトルコリラや南アランド等の新興国通貨等)の観点から各商品のリスクとリターン、各商品間の相関係数等を調べ、自分の許容リスク量、期待収益率等に適合したポートフォリオを作る必要があります。

税務総合戦略室便り 第92号(2017年07月01日発行分)に掲載

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