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金融商品と税金(5)

category: その他
第90号(2017年05月01日発行分)

執筆者9

2回にわたり、個人型確定拠出年金制度(iDeCo)について、税制面を中心にメリット、デメリットをご説明いたしました。iDeCoでは、運用商品を自分で選ぶ必要があり、運用に失敗すると税制上の優遇面などあっという間に吹き飛んでしまいます。一方、うまく運用できれば税制面の優遇措置を十二分に活用することができます。そこで、税金とは離れますが、投資(資金の運用)についてご説明したいと思います。
 皆様は、投資というと何を思いうかべるでしょうか? 胡散臭いと思われる方もいると思いますし、大儲けするチャンスと思う方もいると思います。
 投資とは、そのようなものではなくもっと手堅いものです。以下、投資を考える上でのポイントについてご説明いたします。

ノーリスク・ノーリターン

リスクを取らなければ、リターン(収益)は得られないということで投資を考える上での基本的な原則です。また、同様な意味で「フリーランチはない」という言葉もあります。なお、リスクとは、一般的な意味では「危険」という意味ですが、投資の世界では「(収益の)不確実性」を意味します。一般的に収益獲得の不確実性の高い商品(株式のように収益が安定していない商品)は、獲得可能な収益が高くなります。一方、不確実性の低い商品(預金や国債のように収益が確定している商品)は、収益が低くなります。「リスク」と似たような用語で「ボラティリティ」という用語もありますが、これは値動き(価格の変動幅)のことでボラティリティの高い商品とは株式のような価格変動の大きい商品を指します。
 投資を考える場合、リスクとリターンの関係は非常に重要です。投資商品を検討する場合には収益ばかりに目が向きがちですが、リスクにも注意する必要があります。例えば、表1は、AとB、2つのファンドの8年間の収益の利回りです。AとBのどちらのファンドに投資されるでしょうか?

2つのファンドとも、平均利回りは5%ですが、Bファンドの方がボラティリティは高くなっています。従って、Aファンドに投資したほうが低いボラティリティで同一のリターンを得られるため望ましいと考えられます。
 ボラティリティは、通常、期待収益率の標準偏差によって数値化し示されます。例えば前述AファンドとBファンドのボラティリティは、それぞれ0.82、3.18となり、Bファンドの方がボラティリティは高い(=標準偏差が大きい)ことがわかります。
 では、収益率もボラティリティも異なるファンドを評価する場合にはどう考えればよいのでしょうか? ファンドを評価する指標は色々とありますが、良く使われているシャープ・レシオについてご説明いたします。シャープ・レシオは、日本経済新聞やファンドの説明書にも記載されているため、名前を聞いたことのある方もいるかもしれません。シャープ・レシオとは、リスク(標準偏差)1単位あたりの超過リターン(リスクゼロでも得られる収益を上回った超過収益)を測る指標で、この数値が高いほど効率的に収益が得られていること(リスクをとったことによって得られる収益が高いこと)になります。シャープ・レシオは次の式で計算されます。

シャープ・レシオ=(収益率―無リスク資産の収益率)/収益率の標準偏差

なお、無リスク資産の収益率としては通常国債の利子率が用いられます。
 上述のファンドの場合、国債の利子率を2%とすると、シャープ・レシオは、Aファンドは3.66(=(5-2)/0.82)、Bファンドは0.94(=(5-2)/3.18)となり、Aファンドの方が効率的に収益を得られるファンドということができます。(注)

(次号へ続く)

(注)シャープ・レシオは、対象としている期間によって数値が大きく変わるので、ファンドを比較する場合にはご注意ください。

税務総合戦略室便り 第90号(2017年05月01日発行分)に掲載

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