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税務見聞録~多税に無税~第35回 
本当は怖い国税Ⅱ

第84号(2016年11月01日発行分)

執筆者4

国税の調査には強制調査と任意調査の二種類があります。
 強制調査は言わずと知れた査察部、通称マルサと言われる部署が内偵と外観を重ねて脱税額をはじき出し裁判所に捜索令状を発行してもらい家宅捜査を本社、営業所、取引先、銀行など数十か所、人員は200名近くを動員して脱税の証拠、脱税により貯めた現金、証券、通帳等の現物を押さえ、関係資料を押収していくものです。
 私自身は査察で仕事をしたことがないのですが、実際に、査察を受けた人から聞くと本当に怖いらしいです。そりゃそうですよね。捜索令状を持ってくるわけですから、有無を言えない状態ですね。
 マルサが来るということは真っ黒状態ということです。しかし、中にはマルサの勇み足ということもあります。
 さらに、その上を行くのが地検特捜部ということになります。
 これらは、強制によるもので、全国ベースで年間着手は200件ほどです。多くの税務調査は任意調査ということになります。

最近の調査

では、最近の任意調査による状況はどうでしょうか。
 税務調査を舐めている納税者が多いのではないでしょうか。つまり国税組織が舐められているという現状が見られます。その理由は様々です。
 まずは、調査慣れしている納税者にとって、何度も税務調査を受けていれば、何がポイントか分かってきます。すると、次回の調査の際に、そのポイントを調査するかしないかを見ているわけです。ここで、調査ポイントがズレていると「この調査官は大したことないな」ということで、見下される訳です。
 いざというときになまくら刀、錆びまくった日本刀を出し、振りかざす始末。それも伝家の宝刀のごとくに使うのです。まったくもって滑稽な姿を見ることがあります。こんな調査をしていれば税務調査が舐められても仕方ないと思います。

増差に捕らわれているから本質を見落とすのです。受ける側は楽ですよね。ただ、是認で終わりたくないからどうでもいいような内容を長時間かけるのです。ただし、時間のかけ方は銀行調査や反面調査をするのではなく、ただ、時間が過ぎていくだけの調査です。1ヶ月以上経過して、忘れた頃に調査の終結の話をすることがありますが、その内容たるものは1ヶ月以上の空白を埋めるほどのものはなく、とっくに終了していてもおかしくない内容であることはよくあることです。
 また、調査後に顧問契約を結ぶ場合もあり、その調査結果を見ると首をかしげるような否認事項であったり、何故、その否認事項を受け入れたのかもわからないような結果となっているものがあります。そのような調査をすること自体が税務当局への不信感も増えるものであり、この程度のものかと舐められる原因を税務当局自らが作っているものであると思います。
 また、最近は「税務署は怖くない」というような題材での書物が発刊されていたりすることからも、税務署は大したことないと思われているものでもあると思います。

本当は怖い

税務署は怖くないと思わないでください。それは、本当の税務調査を受けていないからと思っていてください。大した否認がなかったことは、ただラッキーであっただけです。税務調査の担当部署が管轄税務署の一般部門で調査担当者も上席が一人で調査2日間は期間損益しか調査しなかった。結果、是認で終了したことは単にラッキーであっただけです。どの会社にも、査察、資料調査課、総合特官、特情官、特調の調査対象となる可能性はあります。
 突然、無予告で調査に来て、都合が悪いなどの理由で別の日時に変更し、当日は帰って行く税務調査官は普通いませんので、何もせず帰って行ったならラッキーと思ってください。
 国税組織を怖くないと高をくくらないでください。ただし、必要以上に怖がることもありません。
 国税が本気になって取り組んだときは火傷では済みません。
 でも、大丈夫です。そのために我々税理士がついてます。

税務総合戦略室便り 第84号(2016年11月01日発行分)に掲載

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