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太陽光発電設備と非上場株式評価

category: 自社株その他
第84号(2016年11月01日発行分)

執筆者6

太陽光発電設備等を取得して、即時償却その他の特別償却を行っている法人を多く見ます。国の施策に基づく税務上の優遇措置であるので、利用が多いのも至極当然のことです。
 今回は、このように特別償却をしている非上場会社の株式評価について考えてみます。
 その前に、非上場株式の評価方式について、ごく簡単に説明しますと、先ず、原則的評価方式と特例的評価方式(配当還元方式)に大別されます。
 同族株主の持株の評価は、原則的評価方式によります。
 原則的評価方式は、「純資産価額方式」と配当・利益・純資産の3要素について上場会社と比較して評価額を算出する「類似業種比準方式」があります。
 そこで、太陽光発電設備等を取得していて特別償却が計上されている場合の純資産価額と類似業種比準価額の評価方法について解説すると以下のとおりとなります。

純資産価額の計算

太陽光発電設備を取得していて即時償却を行っている場合で説明します。
 純資産価額方式は、会社の資産・負債について、相続税評価額ベースで計算した純資産価額から、その額と帳簿価額による純資産価額との差額(評価差額)に係る法人税額等を控除した金額により評価することになります。
即時償却していれば帳簿価額はゼロになっています(損金経理により直接減額している場合です)ので、相続税評価額もゼロになるかというと、ゼロにはなりません。
純資産価額を計算する場合には、各資産等を財産評価基本通達に基づいて評価する必要があるのです。
 その通達によると、機械装置は、「一般動産」にあたります。
 一般動産は、原則として売買実例価額、精通者意見価額等を参酌して評価することとなっていますが、その価額が明らかでない場合には、その動産と同種・同規格の新品の価額から評価時期までの期間(1年未満の端数あるときは、1年に切上げ)について定率法による減価償却を行った後の未償却残額によって評価することになっています。
実務においては、簿価による取得価額を基に普通償却して評価することが多く、それで特に問題にはなりません。

類似業種比準価額の計算

類似業種比準価額は、先程触れましたように、配当・利益・純資産の3要素について上場会社と比較して評価するのですが、その内の利益について補足いたします。
 利益金額の求め方は、財産評価基本通達によって規定されていまして、評価時期の「直前期以前1年間における法人税の課税所得金額」を基に算出します。
 具体的には、法人税の確定申告書の別表1(1)の1「所得金額又は欠損金額」を基に各種の調整を加えて算出することになります。

太陽光設備について純資産価額と類似業種比準価額は矛盾する?

このように、太陽光発電設備等を取得して即時償却その他の特別償却を行った場合の株式評価においては、純資産価額が特別償却の影響を排除しているのに対し、類似業種比準価額では特別償却を反映した低い評価がなされることになります。
 このことから、評価上「大会社」に区分されると原則として類似業種比準価額で評価できるため、特別償却ができる資産、特に以前に即時償却が認められていた太陽光発電設備を取得することで、法人税等を減税することだけでなく、株式評価を一時的に大幅に下げることが可能となります。
 もちろん、この効果は、即時償却でない通常の特別償却の場合でも効果はありますし、評価区分上の大会社でなく中会社や小会社でも一定の効果はあります。
 この取扱いは、国税庁の財産評価基本通達に基づいた通常の評価方法によるものであり、これについて国税庁から特段の指針は出ておりません。
 一般的に間違えやすいところでもあり、もう少し便宜を図って情報等で具体的に示して欲しいところであります。
 最後に、矛盾の有無については、ご興味のある方は考えてみてください。私は、矛盾しないと思っております。

税務総合戦略室便り 第84号(2016年11月01日発行分)に掲載

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