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贈与税申告状況

第82号(2016年09月01日発行分)
元国税調査官・税理士
黒崎 俊夫

下表は平成27年分の贈与税申告状況であるが、3年ほど前より贈与税の申告者数等は飛躍的に伸びている。

 

昨年から施行された相続税の増税が贈与税申告増加の引き金になったことは確かとは思うが、危機感を覚えた人々が、すぐにでもできる相続対策としての生前贈与を実行に移した人が増えた証である。
 本年(平成27年)の申告者数は53・9万人(前年比+3・8%)だが、平成24年の43・7万人に比すと23・3%の上昇。納税額に至っては本年こそ2402億円(△14・3%)と減少したが、平成24年の1311億円と比較すれば83・2%と倍増に近い。1件当たり納税額も単純計算で62・7万円である(⑤=④÷②、平成24年の1・4倍、平成26年は前年比1・7倍だった)。 納税額62・7万円に対応する贈与金額は約525万円(20歳以上の直系卑属への特例贈与の場合)なのだが、贈与税の申告書の中には税務署に対して申告実績を残す目的で111万円贈与して千円納税するとか、120万円贈与して1万円納税すると言った少額贈与申告も含まれるから(私が国税に勤務していた頃の記憶では、こういった少額贈与の申告が概ね全体の30%位を占めていた)、縦軸に納税額、横軸に申告者数とするグラフで表すと、グラフの中央値の贈与価額はもっと低く最頻値はさらに低い値を示すだろう。
 要するに一人で何百万も支払う一部の高額受贈者が平均値を押し上げているのであるが、そんな人が決して少なくないであろうことが容易に推定される。  また、上の表は相続時精算課税や住宅取得資金特例適用者も含めてのものであるが、前者適用者は約5万人、後者は6・6万人であり、全国の住宅取得資金の総額は6500億円と前年比+30%と大幅に上昇している。
 それ以外はいわゆる暦年贈与であり、110万円の基礎控除を適用して贈与税の計算をする方法である。
 相続税対策としてこの暦年贈与は極めて有効である。左の表は贈与価額とその実質税負担率を贈与価額ごとに表したものだが、大雑把にいって、その者が適用される相続税率より低い税負担率の枠内で生前贈与すればそれだけ節税になる。もし相続税率が30%の人であれば、生前に1500万円贈与して366万円の贈与税を支払った方が結果的に有利になることを示す。
 ただ本来受贈者が支払うべき税金を、贈与者が代わって負担するとそれについても贈与税の対象になるので注意しておきたい。

税務総合戦略室便り 第82号(2016年09月01日発行分)に掲載

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