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仲良きことは…(発想の転換が大切)

第78号(2016年05月01日発行分)

執筆者7

「戦争はもうからない」・・・以前テレビ放送で、戦争経験者の方がおっしゃられていた言葉です。
 「戦争は残酷だ」という言葉はよく耳にしますが、戦争と経済を結びつけた言葉が新鮮に感じました。
 そもそも相続税が創設されたのが、日露戦争の戦費調達のためだったことからも「戦争はもうからない」というのは、うなずけるところです。
 ほかには・・・。
 「感謝の気持ちはもうかる」・・・以前、行きつけの居酒屋で「いつもおいしいね。ありがとう」と店主に伝えたところ、帰り際、自前のぬか 漬けをいただきました(もちろん、翌朝おいしくいただきました)。
感謝の気持ちは、相手の気分を良くさせ、ひいては自分にはね返ってくるものだなあと、つくづく感じました。すなわち「感謝の気持ちはもうかる」です。
 では、相続の世界に置き換えるとどういうことになるでしょうか。
 昨年「遺産争続」というドラマがありました。相続人の争いを時にはユーモアを交え描いた作品ですが、税法的にみると、笑ってばかりはいられません。
 相続財産の分割協議が整わないと、配偶者税額軽減や小規模宅地の特例が使えないばかりか、係争により精神的にまいる。その結果、仕事ができず、その間の収入が減る、医療費がかかる。訴訟費用がかかる。
 従って、そういう境遇に陥りそうなときは一呼吸入れて「仲良きことはもうかることかな」と発想をかえてみるのもいかがでしょうか。

贈与税の申告はもうかる?(これまた発想の転換)

万が一、相続人同士の仲が良く足の引っ張り合いもない状態であれば、生前贈与もスムーズにいくでしょう(仲が悪いと遺留分問題など余計なことを考えなければなりません)。
 また、相続税の引き下げのための節税対策として、「王道」とされているのが、贈与税です。贈与したものは、相続時精算課税制度を適用した場合や相続開始前3年以内の贈与など特別なことがない限り、被相続人の手を離れ相続税の課税対象となりません。はたして贈与税申告のメリットとはそれだけでしょうか?
 贈与は相続と違い、納税者の考えにより自由にコントロールできます。つまり、相続財産は有無を言わさず、換価できるすべての財産が課税対象となりますが、贈与税は、財産を贈与した分しか課税されません。
 そこで、自社株を少しずつ贈与してみたらどういう効果があるでしょうか。次の例で見てみましょう。
 【例】父親の所有している自社株100株のうち10株ずつ長男に贈与し申告⇒税務署員がチェックし、評価誤りを指摘⇒10株分の株式評価額を是正し修正申告するが、相続の時に贈与しきれなかった株を申告するときは、正しい評価額で申告できます(なにせ税務署のお墨付きですから)。
 贈与しないまま、相続で100株申告し、もしそこで評価誤りを指摘されたら・・・修正額は100株分。贈与の10倍です。
 また、税務署がどういう視点で評価をチェックしているか手の内がわかります。
 一石二鳥とはまさにこのことです。会計事務所も複数でチッェクするでしょうが、そこに税務署の視点も加えると盤石です。
 剣道で例えるならば、相手の懐に飛び込む感じです。間合いが中途半端だと竹刀で打ち込まれ怪我も大きくなりますが、間合いを詰めれば小競り合いですみ、けがを負ってもかすり傷程度です。
 いやな相手ほど仲良くするという発想の転換が大事です。すなわち「(税務署と)仲良きことは、もうかることかな!」
 大事なポイント:誰が申告書をチェックするのか想像することも大切です。若手職員だと経験も少ないので、評価誤りがあったとしても見過ごすでしょう。
 そこで、毎年贈与すれば、複数の職員の目に止まることになるので、時にはベテラン職員もチェックする年もあるでしょう。
 自社株評価は単価×株数ですので、株数が多いほど跳ね返りも大きくなります。
また、税務署は税理士がうっかり見落とすところを見つけるのが得意であることもお忘れなく(帳簿にない借地権のもれなど)。

税務総合戦略室便り 第78号(2016年05月01日発行分)に掲載

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