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低価法の適用

category: 節税その他
第78号(2016年05月01日発行分)

執筆者3

事業を行っていくなかで、「売れない棚卸資産の評価減をしたいのだが、税務上、損金と認められるのだろうか」とお悩みの経営者さんは大勢いらっしゃると思われます。
商品ライフサイクルが短く、かつ季節により明確に商品価値が減少し、定期的にバーゲンセールの実施されているファンション関連商品については、通達に則り比較的容易に評価減を行うことができます。
それ以外の商品であっても、通常の方法により販売することはできないが、様々な理由により長期在庫品として保有し続けなくてはならない。そのような商品の評価減はできないものかと考えている経営者さんもいるかと思います。
最近相談のあった事例を題材に、いわゆる会計基準上の評価減と税務上の低価法と評価損失の取扱いについてお話ししたいと思います。

1.長期在庫の評価減について

自動車部品メーカーの例です。この会社の扱う特定メーカーの特定車種向け部品は、車のモデルチェンジサイクルの影響を直接的に受け、4年もすると通常ルートでは販売できない部品となります。しかしながら、顧客サービスの一環として、補修用部品として保管し続けなければならない。
とはいうものの、このような長期滞留在庫を取得原価で棚卸評価していたのでは、毎年のように在庫商品が積みあがっていってしまうという問題を抱えていました。
そこで社長は、この特定車種向け仕様の専用部品については、経験に基づく社内ルールにより、大幅な評価減を実施したいと考えました。
反面、この評価減の妥当性について、税務調査において問題とされるリスクも持っているとも考えました。

2.商品サイクルの把握と適切な廃棄処理

一般的に自動車用部品は自動車そのものに固有な属性を持っており、自動車に特有の頻繁に実施されるモデルチェンジの影響を受けた短い商品サイクルを持つと想定されます。一方では、通常の販売方法では販売できなくなっても、特殊な自動車部品の開発メーカーとして、長期間にわたり補修用に旧商品の在庫を保有し続ける責任もあります。
こうした商品の特性と商品のライフサイクルを適切に把握し、通常の商品販売ルートから外す社内処理、外した部品のその後の管理方法や使用消費の状況、最終的な処分となる廃棄の時期や実施状況の明確化(書類保存)により、商品サイクル全体の把握と廃棄処理に向けての一連の社内処理のルール化を図り、企業会計上(税務上も)適切とされる棚卸資産の評価減の確立をおこなう必要があります。

3.低価法への変更

企業会計上は評価減という同一の土俵に乗せられている棚卸資産評価は、税務では①低価法による棚卸資産評価と②評価損とに分けて規定されています。
税務では、棚卸評価方法に低価法を採用していない場合、あくまでも税法上の評価損の規定を受けた評価ですと主張するしかないのです。しかしながら、②評価損についての税務の取扱い基準は厳しく、税務否認リスクは①低価法を採用している場合に比較して高いと言えます。このため、会計基準に従い評価減をおこなう場合、棚卸資産の評価方法の変更手続きを早急(決算時期まで)におこない、税務上では低価法に基づいた評価を実施することが賢明です。

4.低価法の整備

「低価法」を適用する場合における時価の算出方法については、平成19年度の税制改正により変更されています。これを受けて新設された通達5-2-11(時価)において具体的な言及はないものの、新通達では全体的には企業会計基準に準拠する方向での取り扱いが認められており、例えば「棚卸資産の評価に関する会計基準」の通常の販売目的で保有する棚卸資産の評価基準9.に述べられている収益性の低下の事実を適切に反映する評価減を実施する余地はあると考えられます。

税務総合戦略室便り 第78号(2016年05月01日発行分)に掲載

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