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元国税調査官が語る国際税務解説 第八回 
海外税額控除制度について

第37号(2012年04月01日発行分)

その他

(1)外国税額控除制度の仕組み

今月は、外国税額控除のお話です。内国法人(居住者も外国税額控除の適用を受けることができますが、便宜上、内国法人を前提とします)は、全世界所得課税という考え方の下、日本で稼得する所得は当然ですが、国外で稼得する所得にも課税されます。  例えば内国法人が、A国に所在するB社から使用料を収受するとします。この場合、当該内国法人が稼得した本件使用料について、日本では法人税が課税されます。このように内国法人が所在する国で課税を受けることを、一般的に居住地国課税といいます。  一方、B社が本件使用料を当該内国法人に支払う際に、A国では、A国の法令に基づき当該使用料に対して源泉税を賦課します。このように、所得の発生した国で課税を受けることを、源泉地国課税といいます。  以上のように、同一の所得に対して居住地国課税と源泉地国課税が発生すると、二重課税が生じます。これを解消するための規定が外国税額控除制度になります。具体的には、内国法人の全世界ベースの所得に課された法人税額から二重課税分にかかる税額を控除することにより、二重課税の解決をはかることになります。

(2)控除対象となる外国税額

しかし、外国税額控除には控除限度額があるため、国外で発生したすべての外国税額が控除されるわけではありません。控除限度額の計算方法は、 内国法人の全世界所得にかかる法人税額×国外源泉所得/全世界所得 となります。これは、全世界所得の内、国外所得の割合分しか控除できないということであり、もし、当該限度額以上の控除を認めてしまうと、日本の税金によって外国の税金を補填していることと同様の結果になってしまい、問題が生じてしまいます。  また、外国税額控除の制度は欠損法人には適用されません。つまり、内国法人の所得が欠損の場合、外国で納付した外国税額について還付を受けることはできないのです。所得税額控除の制度では、欠損法人の場合でも所得税額について還付を受けることができますので、取り扱いが異なります。  平成21年度に導入された外国子会社配当益金不算入制度との関係ですが、同制度が適用された配当にかかる外国税額は、控除することができないことになりました。これは、外国子会社からの配当に関しては、原則、日本の親会社では免税となり、配当にかかる外国税額について二重課税は生じないため、このような規定になったと考えられます。

(3)対象となる外国法人税の範囲

対象となる外国法人税は、原則、所得を課税標準として課されるものが対象となるため、消費税のような間接税は税額控除の対象とはなりません。また、納付後、任意に還付を請求できる外国法人税や、自由に税率を選択できるような外国法人税も対象になりません。

(4)その他のポイント

外国税額控除は、3年間の繰越制度があります。これは、控除対象外国法人税額が控除限度額を超過する場合、また、控除限度額が控除対象外国法人税額を超過する場合、それぞれ3年間繰り越すことができるという制度です。  また、外国税額控除を適用する場合、以前は確定申告書に海外で外国税額を納付したことを証明する申告書等の書類添付が義務付けられていましたが、税制改正により保存義務になりましたので、納税者側の負担が軽減されました。

(5)まとめ

外国税額控除制度におけるタックスプランニングは、控除限度額の枠を有効利用することと、源泉地国で課される税額を最少化することがポイントになります。特に後者については、外国子会社配当益金不算入の規定が導入され、これら配当にかかる外国税額が外国税額控除の対象外となったため、当該税額が単なるコストの一部になりました。  したがって、租税条約における減免規定を利用する事等により、源泉地国における税コストを最少化させるプランニングが必要になってきます。

税務総合戦略室便り 第37号(2012年04月01日発行分)に掲載

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