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税務見聞録~多税に無税~第7回 
税務調査は減少するのか

第52号(2014年01月01日発行分)

執筆者4

この夏、次のような見出しの記事をとある新聞で見ました。

―納税優良企業、税務調査の負担軽減頻度少なく―

「国税庁は、税務に関する企業統治体制が優れている大企業を対象に、1年~3年に1回行っている税務調査の頻度を減らす新制度を始めた。
 今年の7月から十数社に適用し、対象企業を順次、増やすとのことである。その理由として、公務員改革などで国税職員が減る中、税務に対するコンプライアンスの高い調査を省略し、国際的な租税回避スキームなどの複雑化する調査に人員を有効活用しようとする狙いがあるようである。あくまで対象は大企業である」

調査件数が減るということではなく、国際的租税回避が更に増えることを考え、調査体制を強化していくということであるかと思います。

10月に平成24事務年度(平成24年7月~平成25年6月)の調査事績の概要が報道されました。

法人税
 実地調査件数は9・3万件で、前年に比べ3・6万件の減少となっていました。件数が減っていることから申告漏れ所得金額の合計も減っていますが、1件当たりで見ると申告漏れ所得金額は1071・2万円で、前年対比117・2と17ポイントも増加しています。不正所得金額に至っては、1612・5万円で、前年対比133・0と33ポイントも増加しています。さらに、消費税、源泉所得税についても、1件当たりで見てみると前年よりも増加しています。
【主なトピック】無申告法人、海外取引法人、赤字法人、消費税不正還付法人への調査強化

所得税
 実地調査件数は6万9974件で、前年に比べ2万8713件の減少。1件当たりの申告漏れ 所得金額は650万円で、前年対比109と9ポイントの増加となっています。

【主なトピック】富裕層への調査、無申告者への調査、海外取引、無店舗によるネット販売や株式・FXなどのインターネット取引への調査強化

調査件数の減少は、本年1月から施行されている、国税通則法の改正による影響であることは間違いないと思われます。一番の改正は、調査手続きについて法令化されたことにより、調査の事前通知の際に調査先に通知する事項が明確にされ、必ず行うこととされて、調査終了においても非違事項があり修正を勧奨する際には、否認理由を明確に提示しなくてはならなくなりました。
 しかし、これらのことは改正される前にも実施されていたことで、今更ながらとしか思えません。大きな要因は内部処理の方法だと思われます。これまでは、調査が終了した時点で修正事項があれば、調査担当者と調査法人との間で修正の同意があり、修正申告を作成提出した時点で終了となりました。税務署においては、修正申告を受理して決裁を上げて通れば終結なのですが、今では、調査担当者と調査法人とで修正内容において同意したうえで、まず、署内の審理担当者の決裁を受け、さらに実際に修正申告を受理して決議決裁に上げるというようになっています。
 要するに、改正により事務量が増えたことにより件数が相対的に減ったのでしょう。その反面、否認事由も明確になり、ファジーな処理はなくなったのではないだろうかと推測したいところです。
 従前から、本来はそうでなくてはなかったのではないでしょうか。時代により調査指針が変わる。件数つまり接触率を上げることが目的であれば、調査件数が増える。増差不正重視であれば、数字に呪われ、無理な否認をすることになります。

調査件数が減少するということは、真に調査が必要な法人、個人事業者を対象にしていくということなのでしょうか。単純な3年周期的な調査、期ずれ調査はもう必要ありません。これまでの調査実績などで法人および個人事業主の情報は蓄積されているはずですから、真に調査が必要か否かの判断は常識的にできるはずです。

税務総合戦略室便り 第52号(2014年01月01日発行分)に掲載

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