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税務総合戦略室 室長通信 第二十回 
調査官の部署と税務調査の目的

第53号(2014年02月01日発行分)

執筆者1

平成23年度税制改正において、税務調査手続の明確化等を内容とする国税通則法の改正が行われ、平成25年1月から行われる税務調査に際しては、原則として、納税者に対し、調査の開始日時・開始場所・調査対象税目・調査対象期間などを事前に通知することとなりました。
 ただし、税務署等が保有する情報から、事前通知をすることにより正確な事実の把握を困難にする、または調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合には、事前に通知をせずに税務調査を行うことがあるとされています。

調査に来る部署によって狙いが違う

事前通知においては、「○○税務署 ○○部門 上席国税調査官の○○と、国税調査官○○の2名で伺います」というような形で連絡が入ります。突然の税務署からの連絡に気が動転してしまうこともあるでしょうが、連絡のあった調査官の肩書(所属・官職)、氏名はぜひ記録しておいていただきたいと思います。なぜかというと、調査に来る調査官の所属部署や官職によって、今回の税務調査の狙いが推測できる場合があるからです。

 通常の法人税の税務調査であれば、会社の本店所在地を管轄する税務署の法人課税部門の調査官から連絡があるはずです(資本金が1億円以上の法人の場合は原則として国税局の調査部が調査を担当します)。しかし、「国際税務専門官」「情報技術専門官」「特別調査情報官」など、聞きなれない部署の調査官から連絡がくる場合があります。
 このような専門職の部署に所属する調査官は何らかの明確な意図・目的をもって調査に来るケースがほとんどです。耳慣れない部署の税務調査は今まで経験した調査とは違うかもしれないと考えていた方が良いかもしれません。

なぜ、この部署が?

経済取引の広域化・国際化・高度情報化の進展に対応するため、税務署には様々な専門部署が存在します。
 このような専門職の部署の職務の一部をご紹介すると、

「国際税務専門官」
主として海外取引に関する調査、調査手法の開発を行う。
「情報技術専門官」
主として機械化会計及び電子商取引に関する高度な調査、調査手法の開発を行う。
「特別調査情報官」
主として広域的に事業を行っているグループ法人に関する情報管理、調査などの事務を行う。

 ということになっています。
 例えば、国際税務専門官が税務調査に来る目的は、その会社の海外取引の部分に着目した調査を行うためということになります。タックスヘイブン税制・移転価格税制・非居住者税制といった一般の税務署の職員では対応しきれない特別な国際税務の問題について確認する目的であったり、国外送金調書(国外への100万円を超える送金、国外からの100万円を超える受金は金融機関から自動的に税務署へ支払調書が提出されます)に基づく海外送金の目的や海外所得の課税漏れがないかなどを解明するための調査を行ったりします。
 また、情報技術専門官はIT専門官という通称もあるように、税務調査において企業のパソコンやサーバ内のデジタルデータ・基幹システム・会計データなどの電子情報を解析することにより、通常の税務調査では発見できない誤りを見つけ出す仕事をしています。場合によってはメールデータの確認を行うこともあります。情報技術専門官が調査に来たならば、「後で、うちの会社のコンピュータやシステムの中を確認されるのだな……」と推測してもよいでしょう。

グループ法人や多税目にまたがる事案のための部署

私共に最近ご相談が多く寄せられている、または実際に税務調査の立会いを行っているのが特別調査情報官の事案です。近年の経済取引の複雑化・広域化に伴い、子会社や関連会社を複数持ったグループ企業が増加しています。特別調査情報官は原則として3つ以上の税務署にまたがり、かつ5つ以上の関連企業を有しているグループをまとめて調査するための部署です。税務署の調査官は国税局の職員とは違い、自分の所属している税務署の管轄以外の法人の調査を行うことはできませんので、複数の税務署が所管するグループ企業の調査はこのような特別な部署が行うこととなります。
 税務署では、資本関係が同一である、役員が親族同士であるなど、同じオーナー企業間の取引においては、他社との取引と違い、金額が恣意的に決定されることにより利益調整が行われ、所得金額を圧縮するために使われることが多いという見方をしています。そのため、それぞれの会社を単体で調査するのではなく、関連企業を一斉に調査することにより、グループ企業間取引を相互に確認し、効率的に調査をしていこうという流れが加速しています。複数の企業を経営している方においては、関連会社間の取引については問題視される可能性が高いということを意識しておく必要があると思います。
 さらに、税務当局では、グループ法人の一体調査だけではなく、多税目にまたがる事案についても力を入れています。税務職員は採用後、法人税・所得税・資産税などの部門に配属されると、基本的に退職までその税の系統のまま勤務します。「税務署に何十年も勤めているのだから税金のことは何でもわかるのだろう」というのは、実は誤りなのです。通常、税務職員は自分の担当している税目(法人担当なら法人税)のことには精通しますが、自分と違う系統の税金のことにはあまり詳しくありません。
 国税庁では富裕層・資産家に対する調査を重点的に行うことを指示しており、相続税・所得税・法人税を一体として調査するというケースも増加しています。このような場合、税目と部門を超えた調査が必要になるため、各税目の専門家を集めた「特別国税調査官(総合調査担当)」という特別の部署の出番となります。この部署が調査に来た場合は、オーナー企業の法人税調査と同時に先代社長の相続に関する調査や贈与税に関する調査、または社長個人の所得に関する調査も一斉に行うというやり方を取ります。

 弊社にて開催しております税務調査対策セミナー「ベールに包まれた国税組織5万6千人の真実を語る」では、この紙面ではお伝えしきれない詳細な国税局・税務署各部署の業務内容や、調査官の調査目的・思考回路などをお話ししております。ご興味のある方は、ぜひご参加いただきたいと思います。

調査前の事前準備・対応策

税務調査においては、まず「何を、どんな方法で調べられるのだろう?」という不安が大きいのではないか思います。
 私共『税務総合戦略室』では、「税務リスク防衛パック」として税務リスクから会社と経営者の個人資産をお守りするためのサービスを行っております。その中の主要サービスのひとつが「税務予防調査」です。複数の元国税調査官が実際の税務調査と同様の手法で模擬的にお客様の財務・税務状況を確認し、本番の税務調査における指摘リスクを調査するサービスです。
 私共は、潜んでいる病気を発見するための健康診断のように、事前の税務診断を行うことで、安心して税務調査に臨んでいただくことを目指しております。
 会社の事業形態や代表者の資産状況によって税務調査の手法も大きく変化してきています。
 調査が始まった後では、残念ながら十分な対応策を検討できないケースもあります。
 『税務総合戦略室』には、前述した国際税務専門官や情報技術専門官をはじめとした様々な専門部署を経験した、各分野の専門家が集まっています。それぞれの会社に内在している税務問題に応じ、最適な事前診断と解決策を考えることが、税務調査を問題なく乗り切るための一番の方法だと考えておりますので、弊社の「税務予防調査」で安心して本番の税務調査を迎えることのできる体制を構築していただきたいと願っています。

税務総合戦略室便り 第53号(2014年02月01日発行分)に掲載

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