税務総合戦略室便り

HOME >  税務総合戦略室便り >  第54号 >  自社株対策とは何か(後編IX)

自社株対策とは何か(後編IX)

category: 自社株
第54号(2014年04月01日発行分)

執筆者11

6 自社株式の売買による問題と対策

(2)同族株主個人が買い取るケース

①同族株主への売買価額と贈与税  個人と個人の同族会社株式の売買取引においても、税務上は「一物二価」の考え方を取り入れています。すなわち、社員個人、取引先等の同族株主以外の少数株主と同族株主間の取引については、売り主側の株主の態様と買主側の株主の態様によって決められることになります。  売り主側は同族株主以外の少数株主ですから、配当還元価額であっても問題はありませんが、買主側は同族株主ですから、相続税法上の「原則的評価方法」に基づいた「相続税評価額」での買取価額でなければなりません。  個人間の同族会社株式の売買では「みなし時価譲渡」の規定はありませんが、相手側が同族株主の場合には、相続税評価額を下回って売買されたときは、その売買価額と相続税評価額の差額について贈与があったものとみなされ、「贈与税」の課税がなされます。

②株式の時価と課税評価額の問題

  • 時価純資産価額     12万円
  • 類似業種比準価額    2万円
  • 併用方式の時価  12万円×0・5+2万円×0・5=7万円
  • 会社規模  相続税法上の大会社

このような事例の場合で、社員等より併用方式の時価で1000株を買い取るとしますと、7000万円になってしまいます。売買価格については話し合いによる交渉ですから、相続税評価額を基準にして交渉するようにします。  相続税評価額で話し合いが決すれば、類似業種比準価額の2万円でよいことになり、2000万円の買取価額になります。この程度の個人の買取資金の負担であれば購入可能となるでしょう。  こうしたケースであれば、社員等とできるだけの話し合いを持ち、交渉を重ねて合意を得て、同族株主個人が買い取ることになります。

(3)同族関係株主より多額の株式を買い取るケース

①低額譲渡による課税問題  同族関係株主(親族等)から多額の株式の買い取り要求があった場合、同族株主個人では買取資金が多額となり、買い取りが不可能になります。  そこで、法人(株式の発行会社または持株会社等)が買い取ることになりますが、時価が高額になっていると、会社の資金負担も相当な額になってしまいます。

  • 買い取り株式数     1万株
  • 株式の時価       7万円
  • 買取価額        7億円

売主が親族等ですから、十分話し合いの余地があるはずです。  そして、話し合いの結果、1株3万円、買取価額3億円で折り合いがついたとしますと、次の問題として、先述した通りの課税問題がでてきます。  すなわち、法人が個人より時価の2分の1未満で買い取った場合、売主個人は時価(7万円)で譲渡したものとするみなし時価譲渡となり、所得税等の課税が多額となります。買主側の法人に対しては、株式発行会社以外の法人であれば、1株に付き4万円の受贈益4億円に対し、法人税等が課税されます。  また、株式発行会社もそれ以外の会社に対しても定額で譲渡した株主から、受贈益としての含み益によって上昇した株式の評価益に対して、他の株主への贈与があったとみなされる「みなし贈与」の問題も生じます。

②社員持株会を設立して買い取る対策  売主である親族株主等と3億円で売買の話し合いができていますから、その株主と1株7万円、4250株、売買価格2億9750万円で売買契約を結びます。これは、税務上の時価での売買ですから、課税問題は生じません。  次に、社員持株会を設立しておき(設立方法等については前稿を参考にして下さい)、社員持株会(代表者・理事長)と配当還元価額で売主との売買契約を結びます。  1株当たりの資本金等の金額500円、10%配当での配当還元価額500としますと、
500円×5750株=287万5000円
となります(社員持株会は社員個人への売買ですから、先述の通り課税は生じません)。

税務総合戦略室便り 第54号(2014年04月01日発行分)に掲載

お電話でのご相談・お申込み・お問い合わせ

全国対応いたします。お気軽にお問い合わせください。

03-5354-5222

PAGE TOP