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ヤフー事件の判決について 
(組織再編に関わる行為計算否認規定が適用された事例)

category: 法人税その他
第55号(2014年05月01日発行分)

執筆者3

1. ヤフー事件とは

ネット検索大手ヤフーによるデータセンター事業買収(組織再編)に係る税務否認についての事件です。本件は長らく係争中でしたが、去る3月18日、東京地裁はヤフーの請求を棄却しました。
 これは組織再編の行為計算否認規定(法第132条の2)が適用された案件で、追徴税額が265億円と大きかったこと、一連の再編行為における「2つ」の局面、(1)青色欠損金の引継ぎと、(2)適格再編か否か、において税務当局による否認が行われたことから、税務関係者の注目を浴びていた事件です。
 本件で争点とされたのは以下の2点です。

  • ヤフーとIDCSの適格合併においてIDCSの青色欠損金の引継ぎが認められるか。
  • IDCFの会社分割は非適格分割となり、暖簾(税務上の資産調整勘定)が認識されるか。

2. 事件の概要

もともと、ヤフー株式の約40%を所有する株主であるソフトバンク社は、データセンター事業を営むソフトバンクIDCソリューション(以下、IDCSと表記します)の株式を100%保有していました。このIDCSをヤフーがソフトバンクから買収した一連の取引に、組織再編税制の適用上、問題があると税務当局から指摘されたのが事件の始まりです【スキーム図参照】。

スキーム図【スキーム図】

まず、事件の概要を時系列にしたがって整理しますと……。

  • ①2008年12月26日、ヤフーの代表取締役I氏がIDCSの取締役副社長に就任。
     そのわずか2か月後、
  • ②2009年2月、IDCSが会社分割により営業部門を切り出し、100%子会社のIDCフロンティア(以下、IDCF)を新設。
  • ③2009年2月、ソフトバンクがIDCS株式100%をヤフーに譲渡。
  • ④2009年3月29日、IDCSがIDCF株式100%をヤフーに譲渡。
  • ⑤2009年3月30日、ヤフーがIDCSを吸収合併。

とかなり、手が立て込んでいます。
 取引全体としては、わざわざ①をおこなった上で②、③を、そして、わざわざ④をおこなった上で⑤をおこなうという「取引形式」を採ることによって、(1)青色繰越欠損金の引継ぎを可能とする、(2)非適格分割による暖簾の認識とその償却費を計上する、という2つの目的を達成するスキーム取引なのか? と思われます。

3. 判決では

今回、税務当局の主張(処分)が認められました。
 判決において、裁判所は法第132条の2が創設された時の趣旨・目的にまで踏み込んだ法解釈をおこなう(外国税額控除の彼此流用事件を思い出します)とともに、事件に則して、合併を巡る諸事情をも“総合勘案”し、判断をおこなっているのだということに注目したいところです。
 そして、組織再編に係る行為計算否認規定の適用には従来及び腰であった税務署が、これに続けと、何でもかんでも更正に打って出るということのないことを祈ります。アナカシコ。

税務総合戦略室便り 第55号(2014年05月01日発行分)に掲載

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