税務総合戦略室便り

HOME >  税務総合戦略室便り >  第57号 >  米国グリーンカード所持者の確定申告は?

米国グリーンカード所持者の確定申告は?

第57号(2014年08月01日発行分)

執筆者3

1 グリーンカード所持者

米国グリーンカード所持者(米国永住権を持っている者)は、米国に居住していなくとも税法上の居住者(Resident)として取り扱われ、たとえ米国での所得がなくても、米国において日本でいうところの確定申告(居住者用Form1040を使用)を行う必要があります。

  • (1)グリーンカードの所持者は、米国税法が定める居住者判定基準である実質滞在テスト(Substantial Presence Test:183日以上米国外に滞在をするなどの判定基準)によると、非居住者と判断されようとも、
  • (2)本人のTax Home(職業:ビジネスの場所と考えられる)が日本にあったとしても、また、
  • (3)恒久的な住居も日本にあるため、生活していく上で米国以上に日本と関連していた=つまり、日本に重要な利害関係の中心があったとしても、非居住者として扱われることはありません。このグリーンカードを持っているだけで居住者として取り扱われ、『全世界所得課税』されてしまいます。グリーンカードはジョーカーなのです。

2 日米間での二重課税

つまり、米国グリーンカード所持者は、どこの国に住んでいようと米国で申告する義務がある……と米国税法では定めているのです。
 But、この状況であると、日本でも日本の税法に基づいた居住者判定がなされ、その結果、日本の居住者として全世界所得課税されます。つまり、双方居住者となるのです。
 そうすると、日・米で全世界所得に対して二重に課税される状態になります。これだと税金は払えないほど高くて、納税者(個人)は困ってしまいます。

3 よく聞いた話

米国税法上の居住者(Resident)には、ムチばかりではなく飴も施しています。
 米国外から得た労働所得(Foreign Earned Incomeという)について、一定の条件を満たした場合、それらを最大9万7600ドル(2013年ベース)所得から除外することができます。
 実際にこの規定が使われているのでしょうか? 米国グリーンカードを所持する〝とある人〟は、ダブルボーダーの税対策(方便)として、日本では日本で受け取った給与(役員報酬)のみを居住者として申告していました。一方、米国ではグリーンカード所持者として総所得(Gross Income)をIRSに申告していたと思われます。申告していないと、米国グリーンカードを失う懸念があるからです。米国では、時効や罰則の規定も日本より厳しいカラネ。

4 日米租税条約がある

 実は、このような場合の解決策はあるのです。租税条約の適用です。
 双方居住者になってしまった場合のステータス(地位)、つまり、どちらの国の居住者であるのかの判定方法が日米租税条約第4条にあります。このルールによって日本居住者と判定された場合、米国国内源泉所得を除いて、IRSに申告する必要はありません。そして、日本の税務署で総所得(全世界所得)を申告します。
 双方居住者の居住判定には、通常、日米租税条約第4条第3項の「タイブレイクルール」が適用されますが、米国市民及びグリーンカードを持つ米国永住権者には第2項が適用されます。この第2項「米国の居住者とされる個人とは……」の(a)には、「当該個人が、1項の規定により日本国の居住者に該当する者でないこと」とあります。
 この規定により、日本の居住者は米国の居住者から外され、日本に全世界所得(総所得)を申告すべき者と決定されるのです。これで良かったと言えるのか微妙デスネ。手続きが面倒ダ。「ヤッパ、方便に走るしかない?」……とは、税理士としては言えません。

双方で課税された場合、相互協議を申し立てるか裁判に持ち込むしか解決策はありません。このためか、正しくは日本の居住者である人も、より安上がりで安全な選択、賢い選択として、米国居住者を決め込んでいる例は実は多いようです。アナカシコ。

税務総合戦略室便り 第57号(2014年08月01日発行分)に掲載

お電話でのご相談・お申込み・お問い合わせ

全国対応いたします。お気軽にお問い合わせください。

03-5354-5222

PAGE TOP