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元国税調査官が語る国際税務解説 第三十回 
非居住者になれば、日本で課税を受けないことになるのか?

category: 国際税務
第59号(2014年10月01日発行分)

その他

1. 非居住者の日本での課税関係

日本の居住者が海外に移住し、非居住者になった場合には、日本での課税関係が生じないと勘違いしている方が多いように感じます。
 確かに、非居住者になることによって全世界所得課税には該当しないこととなるため、課税範囲は限定されることになりますが、「国内源泉所得」については日本での課税関係が生じることになりますので、注意する必要があります。
 では、「国内源泉所得」とはどのような所得のことをいうのでしょうか。日本国内で生じた事象に起因する所得を指しますが、日本の税法では、以下のような所得を「国内源泉所得」として扱っています。

※法律上は難解な表現となっていますが、ここでは、理解していただくことを優先し、わかりやすい表現にしてあります。したがって、厳密でない部分もありますのでご了承ください。

2. 国内源泉所得

①国内不動産を売却した際の譲渡益や国内不動産から生ずる賃料収入
不動産については、全世界的なルールとして不動産が所在する国に課税権を与えているため、海外に移住したとしても日本での申告義務が生じます。
②芸能人やスポーツ選手の日本国内で事業活動
通常、非居住者の場合、事業に関する所得は日本に拠点がない場合は課税されませんが、芸能人、スポーツ選手、弁護士等は、人的役務事業として日本に拠点がない場合でも課税されることになります。また、専門的知識を有するコンサルタント等も同様です。
③国内に所在するゴルフ場のゴルフ会員権の譲渡益
④国内において行う業務や資産に関し受ける保険金や損害賠償金等
海外に移住をした場合であっても、日本の保険会社を通じて契約した生命保険に関する満期保険金や解約返戻金は課税対象となります。
⑤法人からの贈与により取得する国内にある資産
オーナーとなっている日本法人から車の贈与を受けた場合等です。
⑥国内において行った行為に伴い取得する一時所得
一時帰国し、日本でたまたま馬券を買ったら的中した場合等です。
⑦国内において行う業務または国内にある資産に関し供与を受ける経済的な利益
⑧日本の国債の利子や国内銀行に預けられた預金利子
⑨内国法人から受ける配当
⑩国内において業務を行う者から受ける著作権等の使用料
⑪国内において行う勤務にかかる給与
⑫出資総額の25%以上を保有している内国法人の株式を年間5%以上譲渡する場合
これらの株式は事業譲渡類似株式といい、企業のオーナー等の場合、海外に移住し、自社株を売却したとしても、その年に出資総額の5%以上を譲渡すると、日本で課税関係が生ずることになります。
⑬総資産の価額の50%以上が不動産である内国法人の株式を一定数譲渡した場合
これらの株式は、不動産化体株式といい、非居住者が、不動産業やホテル業を営む内国法人の株式や資産管理会社の株式を売却する際には、日本で課税関係が生ずる可能性があります。

3. まとめ

非居住者として海外に移住したからといって、日本の税金がゼロになるというわけではありません。上述したように、日本に所得の源泉があるものについては日本で課税されることになります(上記は例示列挙ですので、これ以外にも課税されるケースはあります)。
 また、課税方法については、総合課税・分離課税の区分や源泉徴収の有無等についても注意する必要があります。
 今回は日本の国内法に基づき解説しましたが、相手国と租税条約を締結している場合で、租税条約に国内法と異なる定めが規定されている場合は、租税条約が優先適用されるため、上述した課税関係と異なるケースもありますので、詳細についてはご相談いただければと思います。

税務総合戦略室便り 第59号(2014年10月01日発行分)に掲載

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