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税よもやま話 第二十一回 
不服申し立て(その二)

category: 税務署
第62号(2015年01月01日発行分)
元国税調査官・税理士
松井 孝榮

異議申立てがなされると

申立人から税務署長に異議申立てがなされると、署の「異議審理担当者」が対応することとなります。
 形式審理、実質審理が行われ、その後、異議審理担当者は申立人と面会し、口頭意見陳述が行われます。
 税務署の更正処分の場合、不服申し立てが予想される事案については、事前に国税局の担当部署と十分に検討がなされています。異議担当者が再調査を行っても、結果を覆すような新事実が提出されない限り、まず結果が変わることはありません。
 いわゆる異議調査が終了し、署の判断が決まりますと、決定の理由書の作成が始まります。三か月という処理期限があるため、理由書の作成に当たっては国税局の国税訟務官室の協力を仰ぐこととなります。

国税訟務官室

各税務署には、法人または個人等の部署ごとに「異議審理担当者」が選抜されています。そして、これらの者を指導しているのが、各国税局に配置されている国税訟務官室です。
 法律上の解釈とか複雑な事案などについては、国税訟務官と相談しながら決定を行います。国税訟務官は、主として国税に係る訴訟に関する事務を処理することになりますが、訴訟の前段階である異議審理についても、検討することになっています。したがって、国税訟務官が訴訟での国の勝訴が困難であると判断すれば、異議の段階で当該処分を取り消すように課税庁を指導することがあります。

審査請求

異議申立てについての決定を経た後もなお不服がある場合は、不服申立ての第二段階として審査請求をすることができます。
 審査請求は、異議申立てについての決定の通知を受けた日の翌日から原則として一ヶ月以内に、国税不服審判所長に対して正副2通の審査請求書を提出しなければなりません。ただし、異議申立てをしてから三ヶ月を経過しても決定がない場合は、決定を待たずにいつでも審査請求をすることができます。
 審査請求書が提出されると、国税不服審判所長は、処分を行った税務署長などに副本を送付して正副2通の答弁書を提出させ、副本を審査請求人に送付し、実質的な審理に入ります。
 審査請求事件の実質的な審理は、担当審判官1名と参加審判官2名からなる合議体により慎重に進められます。そして、審理が終了すると合議体の多数決により議決が行われ、これに基づいて国税不服審判所長が裁決をし、その結果を裁決書謄本により審査請求人に通知します。
 裁決は、実質的には各支部でそれぞれ判断して行われます。支部の所長は首席国税審判官で、最終の決裁は各支部の首席国税審判官が行います。

裁決の種類

裁決には、次の5種類があります。

(1)全部取消し
 審査請求人が原処分の全部の取消しを求める場合において、その請求の全部が認められたとき
(2)一部取消し
 審査請求人が原処分の全部の取消しを求める場合において、その請求の一部が認められたとき、または、審査請求人が原処分の一部の取消しを求める場合において、その請求の全部または一部が認められたとき
(3)変更
 審査請求人が原処分の変更を求める場合において、その請求が全部または一部が認められたとき
(4)棄却
 審査請求人が原処分の取消しまたは変更を求める場合において、その請求が全く認められなかったとき
(5)却下
 審査請求人が原処分の取消しまたは変更を求める場合において、その請求が法令の規定に従っていないことから、実質審理をされることなく認められなかったとき

国税不服審判所の改革

納税者の主張を聞く「国税不服審判所」は、極めて重要な機関だと言えます。しかし、審判官の多くを国税庁の出身者が占めていること等などが問題とされ、現在国税不服審判所の組織や人事のあり方の見直しが行われています。
 前号冒頭の事例も、税理士が適切な対応がとれたならば、結果は全く変わってきたかもしれません。

税務総合戦略室便り 第62号(2015年01月01日発行分)に掲載

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