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賃借建物の原状回復の減免と内部構造などの無償譲渡

category: その他
第65号(2015年04月01日発行分)

執筆者3

この原稿が掲載される頃には、満開であった桜の花も散り、就学、就職、転勤等による、引っ越しシーズンも終わりを告げているかと思います。会社(事業所)も引っ越しをします。ビル賃貸業者にとって、借主が出ていく時には、いろいろな税務上の問題が発生します。
 その一つを取り上げてみました。

                

1 賃貸借契約終了時の問題

                

ビル賃貸契約の解約あるいは期間の満了に伴い
①原状回復費用の一部を賃主が負担した場合や②借主が設置したエスカレーター・エレベーターといった資産を無償で賃主が譲り受けた場合の税務処理の問題です。

                

2 原状回復費用

                

原状回復工事をおこなう者とその費用負担については、契約条項において予め取り決められている場合がほとんどではないかと思われます。とは言っても、原状回復の範囲や費用負担を巡って、貸主と借主の間でトラブルとなったとい事例をよく耳にします。
 契約上、借主が原状回復を行うこととされている場合には、負担金を巡る争いは現実的にはないかと思います。一方、貸主が原状回復工事を行い、その負担金を借主に請求する場合、その借主負担額を巡る争いや交渉は起こり得ます。このような場合、契約上、退去時における原状回復費用の見積額を負担することとしており、過不足があっても精算しないという約定があれば、負担金によって生じる税務上の問題(損金計上時期を含めて)は少ないかと思われます。
 but、そのような契約条項はないが、原状回復工事金額(実費)とは異なる低額の負担金の合意があった場合、受け取る(べき)負担金との差額を巡る法人税法上の取扱いについても注意する必要があります。 差額の生じた合理的な理由が必要となりますし、場合によっては、貸主が免除した負担金(借主にとっては免除益)に対して、寄付金の損金不算入(法37条8項)規定の適用もありうるということです。

                

3 資産の無償譲受

                

法人税法上、資産の譲渡等があった場合には、時価によって取引がなされたものとして課税所得を計算することとされています(法22条2項)。
 もし、退去時に、借主から「原状回復費用を節約したいので、設置したエレベーターやエスカレーターを、そのまま置いて退去したい。」と申し出があり、次の借主が使うので、これを受け入れた場合どのようなことになるかというと、厳密には、無償による譲渡と税務上は取り扱われ、その時価との差額は、借主側では寄付金等として、貸主側では受贈益として税務上取り扱われます。
 その後、貸主はこの無償で受け入れた資産の時価を減価償却していくことになります。自己の資産となるので、管理責任や保守・点検、修繕費用も生じます。厄介ですね。

4 対策

貸主としては、スケルトンで空間貸しをしているだけですから、2.及び3.のような事態は避けたいところです。そのためには、原状回復の実施者は貸主とする一方、借主はその費用見積額を負担する旨を契約上キチンと定めておく必要があります。これで、トラブルは少なくなります。更に、前借主と次の借主との仲介を取り持つことで、問題のエレベーター等を次の借主に引き取ってもらうこともできます。

【参考】
第37条 寄付金の損金不算入
第8項
内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、前項の寄附金の額に含まれるものとする

税務総合戦略室便り 第65号(2015年04月01日発行分)に掲載

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