税務総合戦略室便り

HOME >  税務総合戦略室便り >  第67号 >  元国税調査官のひとりごと 第8回 税金をコストと考えてみる

元国税調査官のひとりごと 第8回 
税金をコストと考えてみる

第67号(2015年06月01日発行分)

伊藤 徹也

税務リスクが、存在する理由として、会社の組織体系による部分が少なからず影響しているのではないかと思います。
 多くの日本企業は、管理部門の中に経理部門があり、税務課というのはその経理部門の一部ととらえられています。
 税務は、経理処理の付随的事後処理の一部ととらえられているからでしょう。

1 税金をコストと考える

税金をコストと考えてみてください、会社の最終利益に対して、実効税率34・62%と、ともすれば会社にとって最大のコストになるのです。
 例えば、税務調査で1000万円の経費否認を指摘された時の税負担を考えると、約350万円の税金が追加でかかってしまいます。
 これだけの税金コストを補うためには、利益率を10%と仮定した場合、逆算すると3500万円の売り上げを増やさなければなりません。
 加えて、加算税や、延滞税といった余分な税金も必要になるのです。
 会社として予期しない税務負担、いわゆるコストが発生することにより、会社の存続にも大きな影響を及ぼしかねません。

2 税務リスクは改善できる

だいたいの税務リスクは、事前に検討する材料と時間さえがあれば、おおむね改善することができるのです。
 しかし、税務処理やその後の影響を事前に稟議する会社はほとんどありません。
 事後処理だけでは税務リスクを解消することはできませんので、税務リスクはそのまま潜在化することになりがちなのです。
 これは中小企業に限ったことではなく、むしろ、セクション管理がしっかりした大きな会社ほどリスクは高いのです。
 経理部門責任者は、税務リスクを認識していても、解決できなければ責任を問われることが多いため、セクションの壁が高いことにより、せっかく認識したリスクも潜在化させてしまう傾向にあるのです。
 たとえ是正しようと試みても、他の各部署への発言力がよほど強くなれば、「現場のことがわかっていない」と、一笑に付されてしまうことになったりします。
 その結果、自分の会社に税務リスクがあるかどうかも誰も判断できず、税務調査が入って初めてリスクが表面化するということが往々にしてあるのです。

3 最も怖いリスク

税務リスクマネジメントの必要性は、最終利益の34%超というコストとしての側面よりも、報道などにより受ける計り知れないダメージを事前に防ぐために最も必要になると思います。
 報道により、今日までに何億も投じて作り上げた広告宣伝による企業イメージも、一瞬にして崩れさることがあるからです。

4 税務リスクマネジメントのすすめ

企業イメージを損なうリスクや、会社の存続自体を脅かすリスクを考えたら、多少のコストをかけても、事前の対策などで改善しておく方がはるかに効率的な対応だと思います。
 また、成長著しい会社などは、税務コストを既存のルールを超えて圧縮しようと過度の対策をする傾向にあるのですが、法律の解釈は、専門家でも意見が分かれるなど明確な基準が示せないケースが多々あります。
 さらに、税務調査等では、事実認定という考え方があります。
 法律の解釈や、契約の文言などの形式だけでなく、取引の実態や資金の流れなどから、スキーム全体の後ろにある本来の目的を事実認定することにより課税されることもあるのです。
 そういった体制が良いか悪いかの議論もあるでしょうが、「見解の相違はあったが税務当局の指示に従い修正しました」などと言わなくて済むような事前対策、税務リスクマネジメントを是非おすすめしたいと思います。

税務総合戦略室便り 第67号(2015年06月01日発行分)に掲載

お電話でのご相談・お申込み・お問い合わせ

全国対応いたします。お気軽にお問い合わせください。

03-5354-5222

PAGE TOP