税務署における法人に対する税務調査は、法人税・消費税・源泉所得税という3つの税金が同時に調査されるのが普通です。しかし最近の調査では、同時に印紙税の調査がなされることが多くなってきました。
税務調査で問題となるのは、主に契約書類です。通常、契約書に収入印紙が必要なときは、契約する双方がそれぞれ1枚ずつ収入印紙を貼る慣行があります。そのため、税務調査で印紙が貼られていない契約書が見つかると、その書類を保管している会社から印紙税を追徴することとなります。
○大手スーパー「ダイエー」が大阪国税局の税務調査を受け、3年間で印紙税3千万円の納付漏れを指摘されていた。「ダイエー」が税務調査で指摘された印紙税の納付漏れは、各店舗で請け負っている自転車修理の契約金額などに必要な収入印紙を伝票に貼っていなかったり、売上代金が3万円以上(現在は5万円以上)だった場合に必要な、領収書への収入印紙を貼り忘れていた。
印紙税調査の事前通知はどのようにして行われるのでしょうか。
税務署内の規定によると、このようなルールがあります。
「法人課税部門における実地の調査においては、原則として、法人税、消費税及び源泉所得税を事前通知の調査対象税目とする。(中略)
なお、原則として、印紙税は事前通知の際の調査対象税目には含めないが、調査着手後、法人税等の調査の過程において印紙税の不納付文書(納付方法が印紙貼付によるものに限る。)を把握した場合には、事前通知事項以外の事項として調査対象に追加することを納税義務者等に説明した上で調査することに留意する。」
というわけで、事前には通知しないが、必要であれば印紙税の調査も行うとしているのです。
次に我々税理士を規定している法律を確認してみましょう。
『税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、関税、法定外普通税(地方税法(昭和25年法律第226号)第13条の3第4項に規定する道府県法定外普通税及び市町村法定外普通税をいう。)、法定外目的税(同項に規定する法定外目的税をいう。)その他の政令で定めるものを除く。以下同じ。)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。』
簡単に説明すると、税理士は印紙税の業務を行うことができません(印紙税を除くと規定されています)。なぜ税金の専門家である税理士の業務において、印紙税が範囲から外されているのか不明なのですが、法律にそう規定されている以上、仕方のないことです。
税理士の業務から、印紙税が除かれているという事実から、税務調査で印紙税の話になると、税理士は口出しできないということになります。うっかり意見をのべると「税理士先生には印紙税に関しては代理権限はありませんよね。」と担当調査官からおしかりを受けることになります。これは正確には「税務代理」といって、顧問先である法人・個人事業主の代わりに、税務調査で調査官に発言等をする行為なのですが、印紙税に限っては、これができないというわけです。
(次号につづく)
税務総合戦略室便り 第68号(2015年07月01日発行分)に掲載
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