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税務調査は準備が大事~調査官の視点~

第71号(2015年10月01日発行分)

執筆者12

税務調査を喜ぶ人はいません。オーナー社長にとっては、ストレスの1つになっていると思います。なぜか?多くの人は、何も悪いことをしていないけれども「何を調べられるかわからない」「どのように調査官に対応すればいいかわからない」などの不安を抱えています。その不安を解消するためには、普段から税務調査に対応するための準備をし、万全の体制で当日を迎えることです。

税理士がいれば安心か

「うちは会計事務所にすべて任せているから安心だ」と話す社長もいますが、実際には税務調査において予期せぬ指摘を受けるケースが多くあります。
 もちろん多くの会計事務所が税務調査当日までに対策として事前見直しを行っているはずです。では、なぜ会計事務所に任せているのに指摘されるケースが多いのか?
 それは「調査官の視点」が欠けているからだと思います。

 調査官は基本的に帳簿の金額を信用していません。帳簿は会計事務所が領収証等の金額を会計システムに入力してできあがった数字であり、証拠資料と金額が合っているのは当然だからです。形式ではなく、「取引の事実は何か」を常に考えて調査しているため、一般的な見直し作業で対応することは難しいのです。

過去の税務調査のエピソード

会社は機械部品の製造業で、前回調査では期末棚卸の明細を示す書類もなく、「期末棚卸計上漏れ」の指摘を受けていました。顧問税理士は60代のA税理士でした。
 今回も前回と同様に期末棚卸について確認することにしました。過去の指摘事項は是正されていて当然だと考えるかもしれませんが、実際は毎回同じ内容の指摘を受ける会社が多いす今回も準備調査の段階から期末棚卸の金額に違和感がありましたので、会社の概況聴取をしてすぐに「前回の指摘事項は大丈夫ですよね?」と確認しました。すぐにA税理士から「前回指摘を受けましたので、期末棚卸資産の明細表をきちんと作成しました。」と1枚の棚卸明細表のコピーが提出されました。
 私は書類の内容を確認する前に「原本はどこにありますか?」「誰が書類を作成しましたか?」「実地棚卸はいつ・誰が・どうやって行いましたか?」と矢継ぎ早に質問しました。
 私の質問に対して、A税理士は驚いた様子で「私は棚卸明細表しか見ていないので、わかりません。」と言い、社長に視線を送りました。社長からは、棚卸明細表は自分のパソコンで作成したとの回答はありましたが、他の質問については明確な答えが返ってきませんでした。この時点で形式的に書類を作成しただけで、内容はデタラメであり、準備調査の段階での違和感は正しかったと確信しました。
 その後、社長のパソコンの内容を確認し、棚卸明細表が調査予約した翌日に作成されている事実が発覚しました。結局、前回と同様に期末実地棚卸をしておらず、棚卸金額を調整して利益操作をしていました。
 後日、A税理士は「調査連絡が来た後の事前見直しの際に棚卸明細表があったし、金額も合致していたので、問題ないと思っていた。」「調査官って見る視点が違いますね。」と言って、修正申告書を提出しました。
 今回の事例は、会社が棚卸金額を調整していることに問題がありますが、調査官の視点を持っていれば、決算段階で指導することもでき、他の節税方法を模索する等の対処ができたのではないかと思います。
 ちなみにこのA税理士とはその後別の税務調査で会いましたが、調査終了後「調査官の視点を理解するのは難しい」と言って再び修正申告書を提出していきました。

税務総合戦略室便り 第71号(2015年10月01日発行分)に掲載

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