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譲渡所得の特例

第74号(2016年01月01日発行分)
元国税調査官・税理士
黒崎 俊夫

今回は、譲渡所得の代表的な特例について述べてみたい。

A 固定資産の交換(所得税法第58条)
 土地等の固定資産を他者の持つ同種の資産と交換した場合に、一定の要件に該当すれば譲渡がなかったものとする規定である。
 一番多い事例は借地権と底地の交換である。

上図のように、①借地権者Aの借りている建物敷地以外のA部分と地主が貸している建物敷地の底地部分Bを各々交換する。
 その結果②A、Bとも完全な形の所有権を取得することになる。
借地権者の場合、完全所有権となることで、売却、建替え、担保設定等の障害が消え、地主も使用収益、売却が容易になるなど両者にとってメリットが大きい。

適用のための主な要件

①各々1年以上所有する同種の固定資産であること。→交換取得資産が法人所有でも固定資産であれば可。
 ②交換後も従前と同一の用途に供すること。→交換後直ちに売却する場合は、同一の用途に供したことにならないので適用不可。
 ③各交換資産の価額差が高い方の20%を超えないこと。→設例の場合、交換比率は路線価や路線価の借地権割合にこだわる必要はなく当事者間の合意により6対4でも5対5でも任意で差支えない。
 本特例は借地と底地の交換に限ったものではなく、所有権と所有権の交換等の場合でももちろん適用可能である。
例えば兄弟間で共有となっている不動産が複数ある場合なども、交換の特例を適用し、整理したいような時でも使われる。
 ただ、交換差金で価格差を調整するような場合、③20%を超えると交換そのものが非該当になるので価格の査定が大切になることと、親族間での交換の場合も不等価交換として否認されないように注意する必要がある。

B 居住用財産の譲渡所得特別控除(租税特別措置法35条)
 自己が居住の用に供している家屋又はその敷地を譲渡した場合、譲渡益から最高3000万円を控除できる規定である。
 居住用財産を売却し、譲渡益が生ずるケースは少ないかもしれないが、昭和以前に購入、相続したような土地を売却すると譲渡益は多額になる。
 誤り易い点として、住宅の買換えをする者が、住宅ローン控除を適用する場合、本特例は適用できないため、いずれの特例を使った方が得か比較計算する必要があることである。

上図③はBが土地のみ所有で建物の所有がない例を想定した。
 本特例は建物所有者に対する特例だから、この場合BはAの適用した3000万円控除で使い切らない余りがある場合、余りの金額だけを控除できる(AB同居前提)。従って、将来の売却を想定し、④前もって建物の一部を右のようにAからBに少しでも贈与しておけば、売却時にAB各人とも3000万円を控除できるという話にはなる。
また、住まなくなってから3年目の年末までに売却することが必要だから、税金のことを考えて、安くても売却に踏み切る方が有利なケースも少なくない。
 今日述べた所58条及び措35条についてはほんのさわり部分に過ぎず、詳細はここでは書ききれない。
 この辺りフィナンシャルプランナーFPの2級位の試験に出てきそうである。不動産業者の営業担当者などでFP資格を有している者も多いが、試しに質問してみるのもいい。

税務総合戦略室便り 第74号(2016年01月01日発行分)に掲載

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