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情報の選択と使い方 
~安易な節税対策のリスクについて(①決算賞与その2)~

category: 税理士節税法人税
第74号(2016年01月01日発行分)

執筆者12

前号では安易な節税対策のリスクとして「決算賞与の未払計上」の概要を紹介し、否認されるパターンを3つに分類しました。
 今号ではこの分類に従って、具体的な税務調査事例を紹介します。

【A会計事務所の場合】

そもそも決算賞与の未払計上の3要件を知らない会計事務所です。この場合、あっという間に否認されてしまいます。否認される流れは次のようになります。

  • ①調査先選定
    申告書内訳書の未払費用欄に「賞与分」があることを確認
  • ②概況聴取
    調査初日の会社概況聴取時に賞与支給時期を確認
  • ③帳簿調査
    決算賞与がある場合には、「通知」の有無を確認

【結果】

「支給時に明細を本人に渡しています。」と回答し、否認
 この場合には、調査初日の午前中に否認事項が見つかるため、調査官の気持ちはとても軽くなります。そのため、午後からじっくりその他の重要項目の調査をすることになるため、他にも大きな否認事項が見つかる可能性も高くなります。

【B会計事務所の場合】

3要件は知っているが、決算賞与の未払いが税務調査で必ず確認される項目であることを知らない会計事務所です。この場合も比較的簡単に否認されてしまいます。

  • ①から③までの流れはA会計事務所と同様
  • ④3要件は知っているが、税務調査で 確認されるとは思っていないため、苦し紛れに「通知はしています。」と回答
  • ⑤間髪入れずに具体的な通知の方法を問いただす

【結果】

実際に通知をしていないため、具体的な方法を答えることができず、否認
税務調査に慣れておらず、調査のポイントが全くわかっていないために起きてしまうパターンです。比較的経験が浅い調査官でも否認されてしまいます。

【C会計事務所の場合】

3要件はもちろん知っており、税務調査でも必ず確認されることも認識している会計事務所です。「通知」の要件を満たすために通知書を作成する等の形式を満たしています。
 経験が浅い調査官の場合には、特に問題なく調査終了する可能性が高いですが、多少経験がある調査官の場合には、否認される場合もあります。

  • ①調査先選定
    申告書内訳書に「未払賞与」の記載なし
  • ②概況聴取
    初めて決算賞与の未払いがあることを把握
  • ③帳簿調査
    通知した証拠として従業員の押印がある「通知書」を提示

【経験が浅い調査官】

「わかりました。」とそのまま終了
 多少経験がある調査官の場合には、このまま終わりません。

【多少経験がある調査官】

④事実確認
基本的に会社作成資料を信用していないため、さらに調査する。

【結果】

例えば次の事実が発覚し、否認

  • 経理以外の従業員に通知書の押印について確認すると、「知らない」と回答調査連絡後慌てて経理が通知書を作成したと認めた。
  • 従業員が「通知書に押印した」と回答したが、タイムカードを確認したところ通知日に出張・休暇していた従業員がいた。
    調査連絡後慌てて経理が通知書を作成し、従業員にも「押印した」と回答するように周知していた。

今回いずれのパターンも税務調査で否認されていますが、もちろん決算賞与の未払計上するための3要件をきちんと満たしていれば何の問題もありません。期末に多額の経費を計上できるため、取り入れやすい節税手法の1つではありますが、きちんとした対策をしなければ痛い目に合うことになりますので、注意が必要です。

税務総合戦略室便り 第74号(2016年01月01日発行分)に掲載

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