前号では安易な節税対策のリスクとして「決算賞与の未払計上」の概要を紹介し、否認されるパターンを3つに分類しました。
今号ではこの分類に従って、具体的な税務調査事例を紹介します。
そもそも決算賞与の未払計上の3要件を知らない会計事務所です。この場合、あっという間に否認されてしまいます。否認される流れは次のようになります。
「支給時に明細を本人に渡しています。」と回答し、否認
この場合には、調査初日の午前中に否認事項が見つかるため、調査官の気持ちはとても軽くなります。そのため、午後からじっくりその他の重要項目の調査をすることになるため、他にも大きな否認事項が見つかる可能性も高くなります。
3要件は知っているが、決算賞与の未払いが税務調査で必ず確認される項目であることを知らない会計事務所です。この場合も比較的簡単に否認されてしまいます。
実際に通知をしていないため、具体的な方法を答えることができず、否認
税務調査に慣れておらず、調査のポイントが全くわかっていないために起きてしまうパターンです。比較的経験が浅い調査官でも否認されてしまいます。
3要件はもちろん知っており、税務調査でも必ず確認されることも認識している会計事務所です。「通知」の要件を満たすために通知書を作成する等の形式を満たしています。
経験が浅い調査官の場合には、特に問題なく調査終了する可能性が高いですが、多少経験がある調査官の場合には、否認される場合もあります。
「わかりました。」とそのまま終了
多少経験がある調査官の場合には、このまま終わりません。
④事実確認
基本的に会社作成資料を信用していないため、さらに調査する。
例えば次の事実が発覚し、否認
今回いずれのパターンも税務調査で否認されていますが、もちろん決算賞与の未払計上するための3要件をきちんと満たしていれば何の問題もありません。期末に多額の経費を計上できるため、取り入れやすい節税手法の1つではありますが、きちんとした対策をしなければ痛い目に合うことになりますので、注意が必要です。
税務総合戦略室便り 第74号(2016年01月01日発行分)に掲載
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