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後期高齢者の医療負担割合と株式等の特定源泉口座の確定申告

category: 所得税
第75号(2016年02月01日発行分)

執筆者6

今年も確定申告の季節になりました。そこで、時宜にかなったことを考えることにします。

後期高齢者とは

この制度は、75歳以上の方(例外あり。)を対象とする医療制度として平成20年4月に施行されました。趣旨は、高齢者の医療費を安定的に支えるため、現役世代と高齢者の世代が負担能力に応じて負担することとされています。

医療費の負担割合について

この制度では、本人が支払う医療費は1割となります。
 ただし例外があり、現役並み所得者については3割負担となってしまいます。
 では、どういう場合に現役並み所得者になるのでしょうか。簡記しますと、「本人及び本人と同じ世帯の被保険者(例:配偶者)のうち、いずれかの前年度の住民税の課税所得金額が145万円以上になる場合の、その本人」ということになります。この課税所得金額とは、収入額ではなく、公的年金や給与ならば控除額を引いた金額から所得控除をした残額ですから、一般的には、145万円を下回り1割負担になる人が多いでしょう。

所得判定で3割負担になった人も
次の場合には1割負担に変更可能

次のいずれかの条件を満たす場合には、市区町村に申請することで1割負担に変更できます。

①その世帯に後期高齢者医療制度の被保険者が1人の場合

前年の収入金額が383万円未満
 ただし、383万円以上でも、その世帯の中に70歳から74歳の国民健康保険や会社の健康保険などの後期高齢者以外の健康保険の加入者がいる場合は、その人と後期高齢者本人の収入金額の合計が520万円未満

②その世帯に後期高齢者医療制度の被保険者が2人以上いる場合

その被保険者全員の前年の収入金額の合計額が520万円未満

株式等の特定源泉口座の申告と収入金額

後期高齢者医療制度における負担割合は、課税所得金額の基準と収入金額の基準により決まることは以上のとおりです。ここで、ようやく特定源泉口座が登場します。
 特定源泉口座を開設して株式等を取引した場合には、利益が出ても確定申告する必要がないことや、また、損失が出た場合には、確定申告して、以後3年間にわたり繰越控除できることは、多くの方に周知されています。
 ここで、重要なことは、特定源泉口座を確定申告しない場合は、その年分における収入金額・所得金額から除外されるということです。
 したがって、経常所得では1割負担になる人が、特定源泉口座で売却益がある場合には、源泉徴収されて完結するので、確定申告をしなければ、その収入金額、所得金額とも判定要素にならず、1割負担が適用されることになります。
 一方、特定源泉口座で損失が出たので、3年間の繰越しをするために確定申告をした場合には、収入金額が増えることになります。そのため、課税所得金額による判定で3割負担にはなっても、収入金額による判定で1割負担に変更可能な人が、特定源泉口座を確定申告したために、変更不可になってしまうことがあります。
 後期高齢者の方にとって、1年の間、3割負担になるということは、大変なことであるのは言うまでもありません。
 3年間の繰越しと1割負担のいずれが有利なのかは、ケースによりますが、1割負担の選択の方が有利な人が多数であるようです。

この問題を知らずに申告する悲劇が繰り返される

多くの人で賑わう確定申告書作成会場において、税務職員が目配りをして間違いを防止するのは困難ではありますが、金融機関・税務当局・市区町村が協力し合って、有効なPRを行うべきではないでしょうか。
 申告期限後は訂正申告ができませんし、申告書を取り下げることもできません。
 しかし、明らかに合理的とはいえない申告の場合には、例外的に取り下げを認めるようにして欲しいと思う、毎年のこの時期であります。

税務総合戦略室便り 第75号(2016年02月01日発行分)に掲載

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