税務総合戦略室便り

HOME >  税務総合戦略室便り >  第75号 >  特別償却と税額控除

特別償却と税額控除

category: 節税法人税
第75号(2016年02月01日発行分)

その他

1 節税対策としての利用

節税対策を検討する際に、特別償却や税額控除の適用の可否を確認することも重要です。
 特別償却とは、資産購入事業年度に普通償却額とは別枠で割増しの償却ができる制度であり、中には購入事業年度に取得価額の全額が償却できる即時償却という制度もあります。
 一方税額控除とは、一定の金額を法人税額からダイレクトに控除できる制度であり、一般的に中小企業の場合は「法人税額の20%まで」というように、控除限度額が設定されているケースが多くなっています。
 これらの規定を適用するためには、条件が複雑なものや一定の申請・届出等が必要なものもあるため、適用の可否の確認を敬遠している場合も多いと思います。しかし、税額に大きなインパクトを与えることもあるため、どのような取引が対象になるのかどうかについて、項目程度は、会社のことを最も理解している納税者自身も把握しておいた方がいいでしょう。
 対象となる主な取引として、「試験研究を行った場合」、「中小企業者等が機械等を取得した場合(投資促進税制)」、「生産性向上設備等を取得した場合」、「エネルギー環境負荷低減設備を取得した場合(グリーン投資減税)」、「雇用者の数が増加した場合」、「雇用者給与支給額が増加した場合」等が挙げられます。
 規定の詳細については、紙幅の都合上、割愛させていただきますが、「新製品や既存製品の製造や技術の改良のための試験研究を行う場合」、「機械を購入する場合」、「雇用者数を増加する場合」、「従業員の給与を増額する場合」等、貴社に該当しそうな取引がある場合には、顧問税理士に相談してもいいのではないでしょうか。

2 税額控除と特別償却

これらの中には、「税額控除しか適用できないもの」と「税額控除と特別償却のどちらかを選択適用するもの」があり、前述の例では、「投資促進税制」と「生産性向上設備等を取得した場合」と「グリーン投資減税」が、「税額控除と特別償却のどちらかを選択適用するもの」となります。
 税額控除と特別償却のどちらが有利になるのかという点はケースバイケースですが、一般的には、税額控除の方が有利になるケースが多いと思います。
 特別償却は、早期に多額の償却費を計上できるというメリットはありますが、長期的なスパンで考えた場合、償却費として損金計上できる総額は、特別償却を利用しない場合と同額のため、単なる利益の繰延でしかありません。(利益の繰延であっても、法人税率が年々減少している昨今では一定の節税効果はあります)
 税額控除の場合は、税額からダイレクトに税金を控除できますので、確実に税コストは減少します。また、その年度で控除しきれなかった控除金額がある場合、一年の繰越控除が認められているものが多く、その点もメリットです。減価償却費も法定耐用年数の期間にわたりますが、最終的に取得価額全額が損金算入可能となりますので、費用配分の平準化が可能となります。
 したがって、税務的な側面で考えた場合、毎期コンスタントに一定の所得が発生しているケースでは、税額控除の方が有利になる可能性が高くなる一方、自社株承継のために、一時的に株価を下げたい場合やキャッシュフローを考慮し、目先の税金を減少させたい場合等は、特別償却を利用した方が適切なケースもあると思います。

3 更正の請求

これらの規定について、過去の取引を振り返った場合、適用できるにもかかわらず適用を失念しているケースもあると思います。そのような場合、税務署長に対して、税金を減額するための更正の請求はできるのでしょうか。
 結論からいいますと、特別償却も税額控除も当初申告が要件となっているため、更正の請求はできません。平成23年の改正で、税額控除の失念については、更正の請求ができる旨の税制改正がありましたが、この対象となる税額控除は、あくまでも法人税法に規定する税額控除(所得税額控除と外国税額控除)であり、先述した租税特別措置法に規定されている税額控除は、当初申告が条件となっています。
 したがって、これらの規定を適用する場合には、当初申告で適用対象の有無を確認する事が非常に重要となります。

税務総合戦略室便り 第75号(2016年02月01日発行分)に掲載

お電話でのご相談・お申込み・お問い合わせ

全国対応いたします。お気軽にお問い合わせください。

03-5354-5222

PAGE TOP