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国税に関する不服申立制度

第96号(2017年11月01日発行分)

執筆者10

税務調査の結果に納得できない場合

今回は納税者の方々が税務調査を受け、税務署等の調査結果に納得できない場合に行える不服申立ての制度について述べてみたいと思います。
 税務署等の調査の結果、その指摘事項について納得できれば、通常、修正申告書を提出し、追徴課税分の税額を納税し、加算税、延滞税等の通知に基づき、その納付を以て調査は終わります。しかし、指摘事項について納得できず、修正申告はできないということになると、税務署長等は、更正、決定等の処分(以下「更正処分等」)を行うことになります。
 そうすると、納税者としては、指摘事項について納得がいかないわけですから、国(税務署長等)に対して、更正処分等の取消しを求めることになります。

不服申立ての手続きはどのように行うのか

税務署長等の処分については、一部の例外を除いて大部分が不服申立てを経た後でなければ、訴訟を提起することはできないとされています。これを不服申立前置主義といいます。
 現在の国税に関する不服申立制度は、税務署長等が行った処分について不服がある場合は、納税者の選択により、国税不服審判所長に対する「審査請求」と税務署長等に対する「再調査の請求」との選択制となっています。
 また審査請求は、再調査の請求を行い、再調査の決定後の結果になお不服がある場合にも行うことができます。
 期限は、再調査決定書の謄本の送達があった日から1カ月以内です。なお、再調査の請求をした日の翌日から起算して3カ月を経過しても再調査決定がない場合は、再調査決定を経ずに審査請求することができます。
 再調査の請求は、以前に「異議申立て」といわれていたもので、青色申告書に係る更正処分等の場合に限り、直接審査請求できると規定されていたものが、青色申告書に係る処分に限らず、直接審査請求できるように改正されています。
 更に、直接審査請求する場合の期限は、処分があったことを知った日(処分の通知を受けた場合には、その受けた日)の翌日から2カ月以内に行わなければならなかったものが3カ月以内とされ、再調査の請求に係る期限も、同様に、異議申立ての場合には、処分があったことを知った日(処分の通知を受けた場合には、その受けた日)の翌日から2カ月以内に行わなければならなかったものが3カ月以内に改正されています。
 そして、国税不服審判所長は、審査請求が行われると、原処分が適正であったか否かを判断するため調査・審理を行い、その結果を裁決という形で審査請求人と原処分庁双方に通知します。
 国税不服審判所長の裁決になお不服がある場合は、裁決があったことを知った日の翌日から6カ月以内に裁判所に訴訟を提起することができます。なお、審査請求をした日の翌日から起算して3カ月を経過しても裁決がない場合は、裁決を経ずに裁判所に訴訟を提起することができます。

再調査の請求・審査請求・訴訟の状況について

それでは、不服申立ての各結果、どれくらいの割合で納税者側の主張が認められているのでしょうか。国税庁発表の数値でみてみましょう。

(注)「認容」が納税者の主張が一部又は全部認められた場合となります。

この数値をみると、納税者側の主張が認められるケースは極めて少ないことが分かります。税務署等側も負けると分かっているものについては、更正処分等は行わないでしょうから、当然といえば当然の結果でしょうか。

税務総合戦略室便り 第96号(2017年11月01日発行分)に掲載

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