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タックスヘイブン対策
税制改正の影響について

第93号(2017年08月01日発行分)

執筆者3

今回の税制改正では、大綱に記載された「外国子会社の経済実態に即して課税すべき」との基本的な考え方を踏まえて、経済実態のないペーパーカンパニーに対する適用強化や合算の対象となる受動的所得の範囲の拡大等の大きな制度改正(外国関係会社が平成30年4月1日以後に開始する事業年度から適用)がなされています。
 そこで、ある日本法人の外国子会社2社が現に行っているマレーシアでの日用品卸売り事業やシンガポールにおける不動産投資事業所得を題材に、今般の税制改正により、タックスヘイブン税制の適用が新たになされる恐れはないのか、改正の影響を検討してみました。
 結論としては、今回の改正により、マレーシア及びシンガポールの各100%子会社に関して、タックスヘイブン税制が適用されることはありません。

検討した項目

1.特定の外国関係会社(ペーパーカンパニーなど)に対する課税強化について

現行制度では、外国子会社の租税負担割合20%(トリガー税率)以上であれば、タックスヘイブン税制の対象とはなりませんでした。
 ところが、改正後では、「ペーパーカンパニー」、「事実上のキャッシュボックス」及び「ブラックリスト国所在法人」については、会社単位の合算課税の適用対象外国子会社とされました。
 上記の外国子会社2社の場合、各外国子会社の総資産の中身から見て事実上のキャッシュボックスには該当しません。また、進出先国からしてブラックリスト国所在法人にも該当しません。残る、ペーパーカンパニーに該当するのか否かが、検討すべき点となります。
 ペーパーカンパニーとは、次の2要件のいずれも満たさない外国関係会社をいいます。

  • ①実体基準:その主たる事業を行うに必要と認められる事務所等の固定施設を有していること
  • ②管理支配基準:その本店所在地国において、その事業の管理、支配及び運営を行っていること

2社ともに、所在地国に事務所があり、かつ、役員や従業員が現地において各業務に従事しているなど、改正前の管理支配基準を含む適用除外基準(4要件)を全て満たしていた法人なので、ペーパーカンパニーには該当しません。

2.部分合算課税所得(受動的所得が対象)

前述に加えて、改正された部分合算課税所得の対象範囲拡大は実質的な課税強化となっています。改正では、現行の「資産性所得」がその名称を「受動的所得」と改められました。
 名称が変わったばかりではなく「有形固定資産の貸し付けの対価」がその範囲に含まれることになるなど、部分合算課税の対象となる所得の範囲は大幅に拡大されております。
「受動的所得」の範囲は、項目で見ると改正前の7項目から利子、配当等(一定のものを除く)、有価証券の譲渡取引、デリバティブ取引損益、外国為替差損益、有形固定資産の貸付の対価、無形資産等の使用料、無形資産等の譲渡損益、他、合計11項目に増えました。
 そして、これらの受動的所得については、特定の外国関係会社(ペーパーカンパニーなど)に該当しない外国関係会社であり、かつ、経済活動基準(現行の「適用除外基準」を改めたもの)を全て満たしている場合であったとしても、その外国関係会社の租税負担割合が20%未満である場合、部分合算課税の対象とされました。
 この場合、現時点では受動的所得は発生しておりません。また、将来行うマンションの売買や仲介事業に係る不動産譲渡損益は受動的所得の範囲に含まれませんので、予定どおり売却しても部分合算課税の対象とはなりません。
 ただし、今後、シンガポール法人が取得したマンションの一室を貸し付けることによる所得が発生すると、それが受動的所得に該当する場合があります。シンガポールでの法人税率は20%未満であるため、部分合算課税の対象となりますので注意してください。

税務総合戦略室便り 第93号(2017年08月01日発行分)に掲載

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