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税務総合戦略室 室長通信 第六十回
社内不正を防ぐために

第93号(2017年08月01日発行分)

執筆者1

この数か月、立て続けに残念な出来事がありました。お客様の会社で着服、横領の社内不正が発覚したのです。金銭的な損失はもちろんのこと、それにも増して信頼していた従業員に裏切られた社長の無念さを思うと胸が痛みます。
 資金繰りなどの「お金の問題」、人材確保・後継者など「人の問題」、そして利益が出れば出るほどのしかかる「税金の問題」
 経営者はそれら様々な悩みを抱えていますが、社員を信頼できないまま経営をしていくことも大きなストレスとなります。
 なぜ不幸な社内不正が起こってしまうのか、そしてそれを防ぐ方法はないのか。考えてみたいと思います。

不正発見のきっかけ

6年前に税務総合戦略室を立ち上げた頃は、会社の税務リスク分析とその対策をご提案する業務を中心とし、時には社内不正の発見自体を主目的とした調査も行っていました。
 その仕事の中で事の大小はともかく、不正の発見に至ることも多かったのですが、この数年そうした出来事はほとんどありませんでした。経理組織がしっかりとされている顧問先様が増えてきたせいだと考えていましたが、ここにきてまた数件の事件が発覚しました。発覚したきっかけは次のようなことでした。

  • ◇私達の行う現状分析調査の前日に従業員から社長に告白あり。売上代金から日々数万円を着服していたが、税務総合戦略室の調査で発覚することを観念し自ら申し出。
  • ◇帳簿監査で違和感を覚える出金が連続していることから、その使途を経理担当に問うたところ個人的な費消を会社の経費に付け込んでいることを告白。
  • ◇税務総合戦略室とのセカンドオピニオン契約に頑強に反対していた経理担当者が現状分析調査前に突然退職。その担当者がかかわっている取引について重点的に調べたところ社長の関知しない発注が頻発。

なぜ不正を見抜けないのか

数年におよぶ不正をなぜ社長は見抜けなかったのか。毎月帳簿監査を行っている顧問税理士もなぜ気づくことができなかったのか。理由はいろいろとあると思いますが、間違いなく社員を信用しすぎて任せきりにしていることにその一因があります。「社員を信用できなくて経営ができるか」。確かにその通りです。しかし、人間は弱いものです。お世話になっている会社でもお金に切羽詰まれば目先の誘惑に勝てません。
 私達は国税当局に勤務していたころから多くの不正を目にしてきました。人は悪いことをするという性悪説の考え方が自然と体に染みついています。楽しい仕事ではありませんが、職業的猜疑心を持ち、調査的感覚でチェックしなければ不正を見つけることはできません。悪事を働いている当事者は、当然簡単に発覚するような方法はとらないからです。

起こさせないことが経営者の責任

不幸な不正は見つけるよりも起こさせないようにすることが一番です。そのための体制づくりが経営者の責任でもあります。「不正のトライアングル」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。不正を行う《動機》《機会》《正当化》の3つが揃ってしまうと事が起こるというものです。逆に言えばこの3つが揃わなければ不正は防げるという理論です。
 ここからが難しいのですが、性悪説を表に出しすぎて監視の目を従業員が強く意識するようでは社内の雰囲気が最悪になってしまいます。「会社は社員を疑っている」と感じてしまっては愛社精神が育まれるはずもありません。
 それぞれの会社の状況に応じた自然な形で内部牽制が働き、不正の起こり得ない環境を作り上げること。私はそのことも重要な「社長のストレスフリー」のひとつであり、そのためのお役に立ちたいと考えています。

税務総合戦略室便り 第93号(2017年08月01日発行分)に掲載

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