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国際課税の話(その12)

第92号(2017年07月01日発行分)

立石 信一郎

国税局調査部は、原則として資本金が1億円以上の大規模法人を所掌するのですが、外国法人(外資系法人の日本支店)については資本金というものがないものの、金融機関であれば規模が大きく、高度な金融の専門的知識等が必要なことから、税務署の調査で対応することが難しく、また、金融機関以外でも外国法人固有の特殊な取引があることから、すべて国税局調査部の外国法人調査部門で所掌しています。
 外国法人調査部門の主たる調査対象は、外国の銀行、証券会社、保険会社などの日本支店でしたので、この外資系金融機関を中心に、外国法人調査の世界をご紹介したいと思います。

外国法人に勤務する日本人について

外国法人の調査と言っても、実際の調査に対応するのは、ほとんどが経理又は税務担当の日本人でした。ただ、それまで自分が接してきた日本人とは随分異なり、表面は日本人ですが考え方など内面は外国人としか思えないような方も多かったように思います。
 職歴などを聞くと、次から次に外資系企業などを渡り歩いてきたことを自慢しているようで、能力があれば転職によりステップアップするのが当然であるかのように考えているようでした。調査に臨場した時に、直近期の税務申告書の作成に関わった社員がすべて退職しているようなケースもありました。
 また、自分の与えられている職務を厳格に考えている方も多く、自分の責任となるのが嫌なのか、実際の業務を行っている現場の方から聴取を行う際に、立ち会おうとせず、席を外してしまう経理の方もいました。
 当然、英語などの外国語が堪能で、日常の業務において外国語を使用しているせいか、説明等に使う言葉に、普段日本語の会話の中では使用しないようなカタカナが非常に多く、日本語で会話しているのに、意味がわからないようなこともありました。

外国法人に対する税務調査について

税務調査に、大手の外資系会計事務所の会計士、税理士等が立ち会うことも多く、2、3週間もずっと複数の職員が立ち会っている時に、雑談で立会料の金額を聞いたら、一人一日当たり数十万円を請求するとのことであり、外国法人の税務調査への慎重な対応に驚いた記憶があります。
 外国法人のトップである支店長は、外国の本社等から来ている外国人の方が多いのですが、通常その会社全体における地位は高くないので全く権限がなく、調査結果については最終的に本社の判断を仰ぐ必要があることから、調査に時間がかかるという面もあります。
 給与関係については、人事を担当する部署、場合によっては本社が一元的に管理しており、経理部は一切タッチせず、結果としての数字しか知らされていないのが通常であり、人件費関係の調査においては、経理部の社員が席を外し、人事課の職員に聞き取りや資料の提出等をお願いしていました。
 欧米系の金融機関において、本国等から外国人が赴任してきた場合、給与の手取り金額を保証し、住宅費用、教育費、税金などを会社が全て負担するような契約をしているため、当時で一人当たり5千万円以上の経費がかかるようなイメージがありました。

105%法人について

外国法人調査部門で最も面食らったのは、いわゆる「105%法人」の調査でした。
 105%法人とは、外国にある関係会社のために、日本において業務を行っている外国法人のことで、その請求する対価の額の計算を、外国法人が関係会社のための業務に要した費用の額に5%の利益を乗せることから、このような法人を105%法人と呼んでいました。
 実際には、その対価として10%の利益を乗せている法人もあれば、3%の利益しか乗せていない法人もありましたが、これらを総称して105%法人と呼んでいました。会社全体の業務がすべてこのような業務である場合もあれば、特定の部署だけがこのような業務を行っている場合もあります。

 次回は、この105%法人に対する独特な調査方法や、その他の外国法人固有の調査項目についてお話ししたいと思います。

税務総合戦略室便り 第92号(2017年07月01日発行分)に掲載

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