プライベートカンパニーを設立するとき、オーナー会社の株式を保有しているだけでは、「株式保有特定会社」となり、原則、純資産価額で評価することになります。
ここは、類似業種比準価額を採用できるような会社にしたいところです。
前号以前に話した通り、純資産価額より類似業種比準価額の方が株価が低い傾向にあるからです。
「株式保有特定会社」は、総資産価額に占める株式及び出資の割合が50%以上である会社です。とすれば、逆に50%以上を株式及び出資以外の資産にすれば良いわけです。
そこで、よく使われる手法が収益不動産購入による資産の積み増しです。
オーナーが個人で1棟建て賃貸マンションを持っていたとします。これを持株会社に移行します。
この良い点は、オーナーの節税対策になること、株価引下げ対策になること(以前の号で説明した通り)が同時に達成できる点です。
個人が賃料から必要経費を差し引いた残額が所得税となり、更に残った財産は相続財産となります。
法人が得た賃料から必要経費を差し引いた後、親族に給与を支払うことで、より一層法人税を抑えることが可能となります。
また、個人による不動産所得に比較し、認容される費用計上が限定的でないため、必要経費が大幅にアップします。法人の株主を相続人にすることでオーナーの相続財産になりません。
建物のみを移動する際は、借地権の認定課税を受けないよう「土地に関する無償返還の届け出」を税務署に提出する。
土地が個人所有のままでも、法人が個人に対し地代※を支払うことで、自用地評価額に対し20%の減額となります。
※地代の算定目安
法人が赤字でも地方税(均等割り)がかかる。
不動産移転時に登録免許税・不動産取得税がかかる。
以上、5回にわたりプライベートカンパニーについて検証させていただきました。
いずれにしても、中小企業のオーナーがかかえる事業承継問題を解決できるきっかけになればと思います。
税務総合戦略室便り 第89号(2017年04月01日発行分)に掲載
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