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タワマン節税の規制

第89号(2017年04月01日発行分)
元国税調査官・税理士
黒崎 俊夫

いわゆるタワマン節税とは、タワーマンションの実際の購入価額と相続税評価額との差異を利用した節税手段である。相続税評価に用いる家屋の固定資産税評価額は建物全体の評価額を床面積で単純に按分して求めるため(敷地についても同様)、取引価額の高い高層階の評価額も低層階の評価額も床面積が同じなら同一の評価額となる。つまり高層階ほど販売価額は高いため、評価額との開差が大きくなり、その差額を利用して相続税課税財産の圧縮を図るというものである。
 これについては以前より問題視されていたところであったが、今回の税制改正で階層による実勢価格の差異を評価額にも反映させることになった、のだが……。
 タワーマンションの定義は一様ではないが、今回の改正では高さ60m(概ね階数で20階以上)の建物とされ、この改正は平成30年より新たに課税される建物が対象となる(既存のマンションは除かれる)とされた。

改正の概略を図表に著したのが上表である。
 上表の補正率は左式*1で求め、補正後税額は*2で計算し、各階の住戸は1室で従前の税額を各階共通25としている。

建物に係る税額の合計1千万円は不変なので、それを階層別効用比を適用して各階に税額を配分することで差異を設け、それが課税標準額(評価額)の調整につながるというものだが、結果的にどうだろう。タワマン節税の効果を減じるに十分なものと言えるだろうか。
 この例の40階の所有者は税額が従前の25から26・19へと約5%程度上昇するに過ぎない(これにより課税標準(評価額)も5%上昇)。低層階と比較して高層階の取引価格は坪単価で2倍を超えるケースもある。
 階層による現実の取引価額差異を評価額に織り込んだ節税封じ込めの施策とは到底思えない。

そもそも階層別効用比を、普遍性のある数値に定数化して、評価に反映させるのは無理があると思っていた。
 階層別の効用を形成する居住の快適性、建物の機能性等は、地域によっても、規模によっても、用途によっても使用する者によっても千差万別。不利益者が生じないように配慮するには、最大公約数的なものにならざるを得ない。
 同一建物内の階層別効用比を取り上げるなら、同一階層内の位置別効用比(南東角部屋と北西角部屋の乖差等)はいいのかという話にもなる。

金融資産を不動産に組み替えるという節税手法は古典的なもので多くの節税本にも書かれているところであるが、とりわけタワーマンションの相続税評価額は取引価額の概ね3割くらいとされる。
 貸付の用に供すれば2割も切るだろう。預金で1億円持っていることに比し8千万円も課税財産を減らすことができる。

相続後すぐ売却したりして、意図的な税負担の回避とみなされ、財産評価基本通達6が適用されるようなことには、注意したいのは当然だが、将来の転売時の価額下落や、賃料値下がりによる運用利回りの低下リスクを無視すれば、相変わらずこのタワマン節税は有効であろう。

税務総合戦略室便り 第89号(2017年04月01日発行分)に掲載

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