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元国税調査官のひとりごと 第29回 
税務調査が入りました

第88号(2017年03月01日発行分)

伊藤 徹也

今回は、税務調査が入った場合の対応について、書きたいと思います。

一番にしておくことは、税務署から見て、自分の会社の決算にどんな税務リスクがあるのか、それに対してどう説明するのかを事前に考えておくことです。
次に、具体的な対応ですが、国税通則法の改正以後事前通知の際に、対象税目、対象期間、調査場所、調査書類、調査担当者、調査日時など、事前に伝えることになっていますので、どこのだれが何人で来るのかをしっかり聞いてください。調査官の所属部署、人数で調査のレベルがだいたい想像できます。そして税務調査に対するご要望を我々に事前におっしゃってください。
代表的なご要望としては……

  • とにかく早く終わらせたい。
  • 一点の曇りもないので、とことん戦 いたい。
  • 得意先に、税務調査の事実を知られ たくない。
  • 親族に影響させたくない。
  • 従業員に迷惑をかけたくない等々

ご要望により調査の対応も変わってきますし、場合によっては、税務当局に交渉もしなければなりません。
 調査の当日は、落ち着いて穏やかにご挨拶していただき、調査官の対応は極力信頼できる部下に任せていただき、社長は表に出てこないほうがいいと思います。
 任された担当者も、調査官の質問に、できるだけ即答しないようにしてください。
 指摘事項に対して社長が直接対応してしまうと、後に引けなくなりますし、担当者も、質問の裏に隠された意図を見抜けないまま回答すると、更問いを繰り返しされて、結果的に調査官の都合の良い供述に導かれてしまいます。
 この「更問い」に対応するためにも、じっくり吟味して対応策を検討してから回答するようにします。
 調査官は、このワンクッションを嫌がる傾向があります。
 質問を繰り返すことにより、自分のペースを作ろうとしますし、そこまでの過程を早く進めたいと思っていますので、ワンクッションで寸断されることを嫌がります。
 調査に協力しないわけではなく、勢いでやってもいないことを認めてしまったり、事実の認定を税務署の都合のいいようにされることを避けて、冷静に判断するためです。
 また、状況が許せば調査官のトップの人と対応するようにしたほうが、余裕を持って調査の全体像を把握することができます。
 関係書類の提示などは焦る必要はありませんが、速やかに対応してください。書類が出てこないことでイライラし、トラブルになることが多々あります。
 税務当局は、取引内容が会社でわからない場合は、相手先へ確認に行くことがあります。不本意にも、得意先に迷惑がかかることもありえます。
 会社内で書類も提示して、きちんと説明できれば、余分な反面調査は回避することができるのです。
 調査の指摘事項には、理路整然ときっぱり反論することも肝要です。そのためには事前の準備のほかに、調査官が帰った後のミーティングも大変有効です。
 翌日に向けて、調査官から出された宿題の回答は速やかにしなければなりません。指摘の内容をしっかり理解して、社長の腹に収まる内容なのか否か、事実認定に対する説明、証拠書類の提出などその日が勝負になることもよくあります。
 指摘事項が出そろったら、社長は決断してください。必要な情報はすべて我々が用意します。
 当局の指摘に対して、説明しきれるのか否か、見解の相違があるときは戦うのか、戦えるのか、得意先その他への影響があるかなど打合せさせていただきたいと思います。
 ここでの判断が遅いと、無駄に調査を長引かせることになりかねません。
 当局との対応は、指摘事項の濃淡(白黒グレーの色分け)を見極め、主張すべき点は何かなど見極める必要があります。
 顧問税理士ともよく相談してください。
 調査に際して一番大切なことは、動揺せず冷静によく検討して回答することです。
私どもは今までに、何百件という会社を調査してきましたので、その経験から現状での最善の対応ができると自負しています。

税務総合戦略室便り 第88号(2017年03月01日発行分)に掲載

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