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個人の非業務用資産を業務用にした場合の減価償却

category: 所得税
第88号(2017年03月01日発行分)

執筆者6

今回は季節柄、個人の確定申告について書きます。
そこで今回は表題のとおり、例えば自宅を貸し付けた場合の減価償却をどのように計算するかについて検討します。左記に計算する上でのポイントを挙げます。これらのポイントに基づいて減価償却費の累計額を求めたら、その金額を取得価額から差し引けば、業務用に転化した後の減価償却の基礎になる金額となります。

①耐用年数は、法定耐用年数の1・5倍

自宅を売却したり、今回のように業務用に転化した場合には、その自家用としていた期間についての減価償却をすることが必要です。
この場合の耐用年数は、法定耐用年数を1・5倍した年数によります。(端数は切捨て)

②平成19年4月以降の取得でも旧定額法を使用

平成19年4月以降に取得した資産の減価償却では、「残存価額」と「償却可能限度額」が廃止されましたが、非業務用資産においては旧定額法を使用します。

③償却計算は、年単位

《設例》
業務用資産の減価償却の基礎になる金額
取得時期…平成10年9月10日(新築マンション)
資産…マンションの1室(鉄骨鉄筋コンクリート造)
用途…居宅
取得価額…80,000千円 (建物70,000千円・土地10,000千円)
用途を居宅から貸家に転化した時期…平成28年2月25日
《回答》
法定耐用年数…47年(47年×1.5倍=70.5年→70年)
耐用年数70年の旧定額法による償却率…0.015
経過年数…17年6ヵ月15日→18年
残存価額…90%
以上により計算した結果は次のとおりです。
70,000千円 × 0.9 × 0.015 × 18年 = 17,010千円
70,000千円 - 17,010千円 = 52,990千円
業務用資産の減価償却の基礎となる金額…52,990千円

業務用資産の場合には、通常12カ月分の10カ月といったように月単位で計算し、1カ月未満の端数は切り上げて1月とします。これによって、納税者に有利な取扱いになっています。
一方、非業務用資産の場合には、年単位で計算します。
 取得してから業務用に転化するまでの期間を通算します。
この場合の1年に満たない端数は、6カ月以上は1年に繰り上げ、6カ月未満は切り捨てます。

中古資産を取得した場合の計算は?

これまでは、新築の建物を前提にして考えましたが、現実には中古資産を取得した場合の設例が多いと思います。
今度は、中古資産の場合のポイントを挙げます。

①耐用年数は、中古資産の場合でも法定耐用年数の1・5倍

業務用資産の場合には、使用可能期間を見積もる方法か、いわゆる「簡便法」(殆どこちらですが)のいずれかによりますが、非業務用資産の場合は、それらの適用はありません。あくまでも、法定耐用年数の1・5倍で行います。

②業務用に転化後の耐用年数は、簡便法OK

先程の設例によって、業務用の減価償却の基礎となる金額を求めますが、それ以後の耐用年数は、見積もる方法か簡便法を使うことになります。
 ここで、間違えやすい点があります。
簡便法の場合の「経過年数」は、取得時点での経過年数によります。業務用に転化した時点ではないことに注意してください。

《設例》
次の場合、業務用資産の減価償却の基礎になる金額と業務用
資産の耐用年数は?
新築マンションではなく、築10年9ヵ月の中古マンションを
取得した場合で、他の要件は前の設例と同じとします。
《回答》
業務用資産の減価償却の基礎になる金額…52,990千円
※ここまでは、中古資産であっても変わりません。
業務用資産の耐用年数を簡便法により求めます。
取得時の経過年数…10年9ヵ月 法定耐用年数…47年
(47年-10年9ヵ月)+ 10年9ヵ月×0.2
=(564月-129月)+ 129月×0.2
= 435月+25月
= 460月
= 38.3年→38年(1年未満の端数切捨て)

税務総合戦略室便り 第88号(2017年03月01日発行分)に掲載

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