税務総合戦略室便り

HOME >  税務総合戦略室便り >  第88号 >  情報の選択と使い方 ~安易な節税対策のリスクについて貸倒損失(寄附金との関係)~

情報の選択と使い方 
~安易な節税対策のリスクについて
貸倒損失(寄附金との関係)~

第88号(2017年03月01日発行分)

執筆者12

前号では、回収不能の金銭債権の貸倒れの取扱いについて紹介しました。今号では、関係会社であるE社に対する貸付金を例に関係会社に対する債権放棄をした場合の取扱いについて検討したいと思います。

A社が計上した貸倒損失

E社はA社の関係会社であり、数年前から業績が悪化し、今期赤字に転落しました。そこで、A社はE社を再建するために貸付金3千万円を債権放棄することにより貸倒損失を計上したものです。

債権放棄をした場合

債務者に対して書面により債権放棄をした場合には、法人税基本通達9-6-1の貸倒れ事由に該当することになります。したがって、債権放棄をしたら無条件に貸倒損失として損金算入できると安心してしまう方もいますが、その債権放棄が債務者に対する単なる贈与と認められた場合には、寄附金と認定されることになります。

寄附金に該当するかどうかの判断

債権放棄した金額が寄附金に該当するかどうかを判断する基本的な考え方は、その債権放棄に「経済合理性」があるかどうかです。規定としては、法人税基本通達9-4-1及び9-4-2を基に判断することになります。

(子会社等を整理する場合の損失負担等)
 9-4-1 法人がその子会社等の解散、経営権の譲渡等に伴い当該子会社等のために債務の引受けその他の損失負担又は債権放棄等(以下9-4-1において「損失負担等」という。)をした場合において、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかであると認められるためやむを得ずその損失負担等をするに至った等そのことについて相当な理由があると認められるときは、その損失負担等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。
(注)子会社等には、当該法人と資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者が含まれる(以下9-4-2において同じ)。

(子会社等を再建する場合の無利息貸付け等)
 9-4-2 法人がその子会社等に対して金銭の無償若しくは通常の利率よりも低い利率での貸付け又は債権放棄等(以下9-4-2において「無利息貸付け等」という)をした場合において、その無利息貸付け等が例えば業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことについて相当な理由があると認められるときは、その無利息貸付け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。
(注)合理的な再建計画かどうかについては、支援額の合理性、支援者による再建管理の有無、支援者の範囲の相当性及び支援割合の合理性等について、個々の事例に応じ、総合的に判断するのであるが、例えば、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認められる再建計画は、原則として、合理的なものと取り扱う。

当該通達では基本的な考え方が記載されています。しかしながら、実務上寄附金に該当するかどうかを判断することは難しく、争いになる事例も多くあります。そのため、国税庁ホームページに「子会社等を整理・再建する場合の損失負担等に係る質疑応答事例等」が公表され、具体的判断基準が示されています。さらに、寄附金に該当するかどうか事前に国税局に照会できる制度も設けられています。

次号以降で具体的な判断基準について紹介します。
(次号に続く)

税務総合戦略室便り 第88号(2017年03月01日発行分)に掲載

お電話でのご相談・お申込み・お問い合わせ

全国対応いたします。お気軽にお問い合わせください。

03-5354-5222

PAGE TOP