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共同購入した資産の減価償却

category: 節税法人税所得税
第86号(2017年01月01日発行分)

執筆者3

グループ法人であるA社及びB社が、賃借した新事務所を共同で使用するために、共同で使用する資産(例えば内装設備の改装を行う等により)を新たに購入することがあるかと思います。この場合、資産を取得したのはだれとするのか、その結果としての減価償却計算をどのようにするのかが、A社及びB社の所得金額計算に大きな影響を与えるのではないかと容易に想像することができます。
 所得金額の計算に違いが出てくるからとは言っても、有利なように、自由勝手に経理処理するという訳にはいきません。取引の事実関係にしたがって、経理処理することになります。
 この事例での場合、新事務所の賃貸借契約は単独でA社が賃借人となっているのか、それともA社及びB社の共同名義で賃貸借契約書を締結しているのか、はたまた賃貸人はA社からB社への転貸を(関係会社である場合暗黙に)認めているのかといった事実関係が、購入手法の選択や経理(税務)処理に当たっての制約要素となります。
 先ず、A社単独で賃貸スペースを借りて、A社が内部造作を購入した場合から考えてみます。

1 単独で購入した場合

仮に、賃借人がA社単体であれば、A社が事務所の改装費用等を全額負担し、取得した資産(内装等)をB社にリース契約等により賃貸し、半分使用させることも可能かと考えます。その場合、A社が内装設備等資産を新たに取得し、減価償却費を計上することになります。そして、事務所の内装設備を含めた賃借料をB社に半額負担させることになります。
 この場合、所得計算における益金(収益)と損金(費用)の額は、A社とB社とでは異なった取引の下で算出されることになります。その結果、(A社の損金+A社の益金)対(B社の損金)とは異なることになります。
 一方の会社に、敢えて損金を後ろ倒しで計上したいような場合に採用する方法となります。

2 共同で購入した場合

一方、2社での共同賃貸、共同購入とすることによる税務メリットは大きくなります。
 というのも、資産を2社以上で共同購入した場合の各社の取得価額(その購入の対価)は、その資産の持ち分比率に合わせてその購入の対価を案分した後の金額とされています。
 つまり、少額な減価償却資産の取り扱い規定を適用するにあたって、その取得価額の判定は、仮に30万円の資産を2社で取得した場合、15万円を各々が取得した資産の価額として、少額減価償却資産(10万円未満のもの)、一括償却資産(20万円未満のもの)の判定等を行い、償却計算を行うことになります。
 したがって、税務における所得金額の計算上、共同購入を選択することにより、損金の額の算出に当たっては、①消耗品費等として損金処理することができる、少額減価償却資産の範囲が増大し、かつ、②一括償却資産の範囲も増えることにより、より多くの資産に3年償却を適用できます。その結果、早期に損金計上を行うことが可能となります。

3 共同購入の問題

共同購入により、A社及びB社の損金の額を前倒しで計上することが可能となり、大きな節税メリットを受けることができます。
 ただし、あくまでも共同での使用収益の事実があることが重要なのです。たとえ、形式的に2社以上で共同購入したとしても、その目的が少額の減価償却資産の取得とするために、共同取得としただけであり、実質は2社以上で使用はしていないといった実態がある場合、税務当局による事実認定により、共同購入を否認される恐れもあるかと思います。
 節税目的のみの共同購入は避けた方がよさそうです。
 実は、この共同購入の取り扱いは、以前は公表されていたのです。しかしながら、いつしか表舞台からは消えています。ここからは、まったくの私の根拠なき推論ですが、恐らく、問題のある共同購入取引事例が見られたので、課税上の弊害があると判断され、削除されたのでしょう。ということで、その根拠を示すことを今は出来なくなっています。あなかしこ。

税務総合戦略室便り 第86号(2017年01月01日発行分)に掲載

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