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元国税調査官のひとりごと 第25回 
現場現物確認

第84号(2016年11月01日発行分)

伊藤 徹也

最近の税務調査の立ち合いで感じたことを書きたいと思います。

現状分析調査

おかげさまで私ども税務総合戦略室でも、全国のお客様からご契約をいただいております。会計データなどのやり取りは、ネットや、クラウドにより遠く離れた場所の方ともストレスなくできるようになりました。
 しかし、私どもとご契約いただいた場合には、基本的には必ず現地にお邪魔して、現状分析調査をさせていただいております。実際にその土地に行くことで、風土、空気感、そこに暮らす人の人柄、工場などの様子に触れさせていただくことで、会社の本当の姿が見えてくると考えているからです。
 短時間で会社の雰囲気をつかみ、どこが強みで、どこに弱さがあるかなどを感じ取るためにも、現場に行って現物を確認することが大切だと思っています。

概況聴取

税務調査についても同じことがいえると思います。
 数日間で、会社の数年間の状況を調査するわけですので、短時間で会社の概況を把握する必要があるのです。そのためには、会社の状況を一番わかっている経営者の方に話をよく聞くことと、丹念に現場現物確認調査をすることだと思います。
 もちろん調査官のタイプにもよりますが、最近の税務調査で、午前中いっぱい、必要があれば午後にかけてまで、概況聴取する調査官はまずいません。
 「社長は午後から仕事で出かけてしまいますがいいですか」「どうぞ、仕事を優先してください。必要があればまとめて伺います」という会話もよく聞きます。概況聴取や、雑談をする「間」が持たないのでしょうか。私だったら、極力社長にお願いして話を聞かせていただきます。

現場現物確認調査

また、会社内をくまなく案内してもらう調査官もあまりいません。
 頑張って午前中いっぱい社長に概況を聞くことができたとしても、午後に入ってまで会社の案内をしてもらう調査官はまずいないでしょう。
 中には丹念に案内をしてもらう方もみえます。午後からたっぷり1時間半かけて工場から事務所まで細かく説明を受けながら案内してもらいます。
 事前に税務調査の通知も受けていますし、「会社内を案内してください」と言われて断ることはできません。会社案内で時間を使ってくれたほうがありがたいと思われるかもしれませんが、そうでもないのです。
 そういう調査官の調査はやはり、要領もよく、的確に調査が進みます。会社の概況もしっかり聞いていますので、事実の認定に間違いがありません。そのため、質問事項も前提条件が違うというような的外れの質問もありません。
 結果的に、無駄なように思える概況聴取、現場現物確認が後から有効になってきて、効率的で、的を外さない調査につながるのだと思います。

要注意な調査官

個人的な意見ではありますが、概況聴取に時間をかける人、社長と雑談も交えながら会話をし続け、会社内をくまなく見て回り、その際、細かく業務の流れなどを質問してくる調査官は調査能力の高い要注意調査官だといえると思います。
 もちろんそれをしなかったからと言って能力が低いとは言い切れません。
 例えば、事前に過去の調査事績、会社のホームページ、取引資料せん等をくまなくチェックしてから、調査に来る調査官もいます。
 過去の調査の調書など細かくチェックしてくれば、取引の流れなどは事前に頭に入っていて、改めて概況を聞く必要があるのは、前回調査以降に変更があった点などを聞く程度で済むのです。
 逆に調査を受ける立場からすると、調査の事前連絡があった場合には、事前に会社内を確認して回り、タイムカード、原材料倉庫の在庫管理状況、機械装置、金型などの現物と資産台帳とのチェック、作業の流れの中で作成する書類の確認、作業くず等の保管状況をもう一度確認しておくことをお勧めいたします。
 そうすることで、落ち着いて税務調査に対応することができ、上手な税務調査の受け方といえるのではないでしょうか。

税務総合戦略室便り 第84号(2016年11月01日発行分)に掲載

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