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特定路線価の設定

category: 税務署その他
第84号(2016年11月01日発行分)
元国税調査官・税理士
黒崎 俊夫

土地を評価する場合、通常であればその土地が接する路線価に基づき評価をするが、その土地が私道のみに接しているため路線価が設定されていないことがよくある。行き止まりの私道については原則として路線価を設定しないという当局の方針によるものだが、その場合納税者はその私道に価格を設定してくれと「特定路線価の申請」をすることができる。
 これは「……できる」規定であるから、特定路線価を申請せずに、当該私道と接続する路線に設定されている路線価を正面路線価として評価するいわゆる画地調整評価も一般的である。
 例えば下のようなケースで、土地Aと私道の持分を有しているような時、間口2m、奥行30mの旗竿状の斜線部分の土地として評価するわけである。

特定路線価を申請すると、ほとんど価格が下がらないから画地調整評価の方が有利だし、税務署がそれを否認することはない、といった声を聞く。後者は当たっているが前者は、特定路線価をつける職員の感覚的なものに左右される。整備された位置指定道路なら別として、幅員の狭い行き止まりの二項道路だと、①車が入れない。②再築しにくい③セットバック必要など、3割減位が相当と思うが、単なる感覚ではなく、細街路としての斜線制限、容積制限等理論的に裏打ちされていなければ説得力に欠ける。
 私も10数年前まで数年間、国税の職場の評価担当だったので特定路線価の評定業務も行っていた。特定路線価の申請が出ると、担当の職員は現地に赴き、道路の状況を見て付近の路線価と対比することにより価格を決める。評定が恣意的にならないように市販の「土地価格比準表」に記された格差率を参考に決定しろと教えられていたが、この比準表は土地の格差を判断するもので道路の価格差をつけるものではそもそもないし、土地の価値を決定づける全面道路の種別による格差の項目は設けていないので今思うとナンセンスだった。

「土地を買うなら道を(も)買え」という言葉がある。建築基準法第42条は道路に関する規定であるが、特に私道の場合それが同条もしくは43条に規定された道路なのか、そうでない法定外道路なのかが重要で、法定外道路の場合道路とはみなされないので、接道義務(建築物の敷地は道路に2m以上接しなければいけない)を充たさず、その私道だけに接する土地上には建物建築が不可能である。利用不能な土地の価値は無価値に等しく、そのような私道には路線価はもちろん特定路線価も本来ふるべきではない。道路種別図なり道路台帳等は区役所で確認すればわかるのだが、こうした大事なことを当時教わった記憶はない。問題意識の欠如かもしくは正確に説明できる人間がいなかったのだろう。道路の種別も理解していない職員の中には、暗渠とか単なる通路みたいなところに平気で路線価をつけてしまう人間も多かったし、誰も疑問を持たなかった。

路線価はそれを基にして納税者が評価額を出し納税するわけだから、それを決める人間の責任は重い。自分が課税標準(法律)を作っているのと同じであるから、容積率の意味も知らない職員が評価していては路線価自体の信頼が損なわれる。
 今では固定資産税の路線価も市区町村によってはホームページに公開されており、特定路線価を設定する方も固定資産税の路線価との整合性を重要視しているはずだ。
   国税も市区町村も管内の複数の地点にポイントを設け、不動産鑑定士が付けた鑑定評価額をよりどころに路線価をつけている。固定資産税の評価替えは3年に一度だが国も地方も同じようなことを行っている。評価の一元化を考えるべきではないだろうか。

税務総合戦略室便り 第84号(2016年11月01日発行分)に掲載

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