税務総合戦略室便り

HOME >  税務総合戦略室便り >  第83号 >  非居住者の相続税申告について考える②

非居住者の相続税申告について考える②

第83号(2016年10月01日発行分)

執筆者7

前号においては、外国にいる方の相続税が日本において発生する可能性(いわゆる制限納税義務者の取扱い)と、果たして税務署は外国での死亡者を把握できるのかというところで、終了しました。
 今号はその続きとなります。

今回の疑問:外国居住者が死亡届出を?どこに提出する?

恐らく(私の知る限り)提出する場所がありません。これでは、税務署も日本に財産がある外国の方がいつ亡くなったか調べようがないのでは……。そこで、最近、「パナマ文書」問題にからみ、にわかに取りざたされてきた「情報交換制度」について見てみましょう。

情報交換制度

~以下国税庁資料を参考として、 まとめてみました~

①我が国の税務当局における必要性

平成10年の外為規制の自由化で海外での投資・蓄財活動が活発化しており、それらの動向を把握し、課税処分行う観点から、税務当局の対応が喫緊の課題となっている。

②情報交換手続き(要請に基づく場合)

  • イ情報の特定:条約締結国の税務 調査につき、特定の情報が必要 となる。
    ただし、普遍的(いたずらに情報を収集すること)収集は禁止。
  • ロ自国内調査:自国内で把握でき る限界まで調査すること。
  • ハ相手国への要請:ロの結果、相 手国でしか把握できない情報を 要請する。
  • ニ要請手段:原則文書、場合にも よるが、口頭も可。OECDに よる書式及び指針を活用する。

③要請に基づく情報交換以外の情報交換

相手国から個別的要請を受けることなく、自発的に支払調書の提供・受領する枠組みあり(いわゆる「自動情報交換制度」)。2013年以降、①金融機関等に対する「口座情報」の提供義務※、②多国籍企業グループに対する文書化義務を創設。※日本における情報ネットワークは、80以上の国・地域間で構築されております。

 

④国税庁の報道発表資料

  • イ「要請に基づく情報交換」
    平成26年度に国税庁から外国税 務当局に発した要請件数は52 6件、アジア・太平洋州の国・ 地域向けの要請が396件となり、 全体の7割以上を占めています(具体的な国名は発表されており ません)。 また、その逆に要請を受けた件 数は125件となっています。
  • ロ「自発的情報交換」※
    平成26年度に国税庁から外国税 務当局に提供した「自発的情報 交換」の件数は317件です。 また、提供を受けた件数は12 58件となっています。※「自発 的情報交換」とは、外国税務当局に  とって有益と認められる情報を自発 的に提供するものです。
  • ハ「自動的情報交換」
    平成26年度に国税庁から外国税 務当局に提供した「自動的情報 交換」の件数は、13万7千件です。 また、提供を受けた件数は13万 2千件です。

自動情報交換制度と死亡届出の関連

自動情報交換制度では、金融機関の「口座情報」を中心としていることから、死亡関連情報はないようです。
 そもそも、世界の年間死亡者数が5千万人超であることから、その中で日本に財産を所有する人を関連付けるのは、土台無理な話かもしれません。
 「沈黙は金」(申告しないもの勝ち)とならないよう、税務当局もしっかりとした法整備をしてほしいものです。
 ここで、紙面がつきました。次号でこのシリーズ完結となります。
 次号では、自主的に相続税の申告をしたとしても、相続税を納税しなかったらどうなるかについて、差し押さえ財産の根拠法令を紐解きながら解説したいと思います。

税務総合戦略室便り 第83号(2016年10月01日発行分)に掲載

お電話でのご相談・お申込み・お問い合わせ

全国対応いたします。お気軽にお問い合わせください。

03-5354-5222

PAGE TOP