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少額減価償却資産(その2)

category: 法人税
第82号(2016年09月01日発行分)
元国税調査官・税理士
大柳 和二

前回は少額減価償却資産3パターンの概要及び各制度の適用に当たって重要なポイントとなる取得価額の判定について説明しました。  これらの少額減価償却資産を取得してもその資産を事業の用に供さなければ損金に計上することはできません。  今回は事業の用に供した日の取扱いとその他の留意点について説明します。

事業の用に供した日

減価償却資産の償却開始の日は、「事業の用に供した日」となります。  この「事業の用に供した日」とは、一般的にはその減価償却資産のもつ属性に従って本来の目的のために使用を開始するに至った日とされています。  例えば、機械を例にした場合、機械を工場内に搬入しただけでは事業の用に供した日とはいえず、その機械を据え付け、試運転を完了し、製品等の生産を開始した日が事業の用に供した日となります。  また、事業の用に供した日とは、資産を物理的に使用し始めた日のみをいうのではなく、例えば、工具の場合には使用するために用品倉庫から現場へ払い出したときに事業の用に供したものと考えます。  したがって、少額減価償却資産を取得した場合において、その事業年度末に未使用のものは事業の用に供したことになりませんので貯蔵品に計上する必要があります。

「一括償却資産の損金算入」における留意点

(1)償却限度額の計算

一括償却資産の償却限度額を計算する場合、端数が生じることがあります。  例えば、取得価額17万円の減価償却資産を一括償却資産として償却すると、各年度の償却限度額は5万6666円(小数点以下は切捨て)となります。その結果、3年間での償却額の合計は16万9998円となり、3年目の期末で2円の未償却額が残ることとなります。  この場合に3年目に未償却残額2円を含めて処理すべきか、繰り越して4年目に処理すべきかですが、厳密に考えれば2円は償却限度超過額であることから4年目に減価償却費として処理することになります。  しかし、調査等の実務においては、3年目に未償却残額を減価償却費として処理しても償却限度額超過額2円の処理が問題になることはないと考えます。

(2)圧縮記帳との関連

法人税法又は租税特別措置法のいずれの圧縮記帳を適用した後の取得価額に対して10万円未満の少額減価償却資産又は一括償却資産の適用が可能です。

「中小企業者等の少額減価償却資産 の損金算入」における留意点

(1)中小企業者の判定

中小企業者とは資本金の金額が1億円以下で常時使用する従業員の数が千人以下の法人(発行済株式総数の2分の1以上を同一の大規模法人が所有している法人又は発行済総数の3分の2以上を2以上の大規模法人が所有している法人を除く)又は資本若しくは出資を有しない法人のうち従業員の数が千人以下の法人をいい、その減価償却資産を事業の用に供した日の現況によって判定することになります。  したがって、法人が事業年度の中途において中小企業者に該当しないこととなった場合においても、その該当しないこととなった日前に取得又は制作若しくは建設をして事業の用に供した少額減価償却資産についても適用があります。(措置法通達67の5-1)

(2)圧縮記帳との関連

国又は地方公共団体からの補助金により資産を取得し圧縮記帳を適用した場合、補助金控除後の金額が取得価額となります。  本件の特例は法人税法上の圧縮記帳の適用を受けた資産を適用除外していませんので、圧縮記帳適用後の帳簿価額が30万円未満であれば損金算入の適用があります。

消費税との関連

取得価額の判定を行う時に気を付けなければならないことはそれらの資産を取得する際に負担する消費税の取扱いです。  これについては、消費税の経理処理につき税込処理方式を採用している場合には消費税の額を含めたところで取得価額を計算しますが、税抜処理方式の場合には消費税の額を取得価額に含めないことになるので、消費税抜きの本体価格に基づいて10万円未満、20万円未満又は30万円未満の判定をすることになります。

税務総合戦略室便り 第82号(2016年09月01日発行分)に掲載

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