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税務見聞録~多税に無税~第33回 
二重帳簿

第82号(2016年09月01日発行分)

執筆者4

会計帳簿とは、企業等が取引上その他の営業上の財産に影響をおよぼすべき事項を記載した帳簿です。貸借対照表、損益計算書を作成する基礎となるものです。
 主要簿と補助簿に分類され、さらに次のように分類されます。

主要簿

  • 仕訳帳
  • 総勘定元帳

補助簿

  • 現金出納帳
  • 銀行帳
  • 受取・支払手形帳
  • 売上帳・得意先元帳
  • 仕入帳・仕入先元帳
  • 商品受払帳

など
 国税には国税関係帳簿と国税関係書類というものがあります。
 国税関係帳簿とは前述したものと同等です。関係書類とは、例えば、棚卸表、貸借対照表、損益計算書、その他決算に関して作成した書類、その他契約書や領収書、請求書などがそれに当たります。

二重帳簿とはこれらの帳簿書類の正しいものと正しくないものを作成していることです。
 つまり、所得金額を意図的に減少させたり、納税額を意図的に減少させたり、要するに脱税を目的に正しい帳簿書類と脱税後の金額に合わせた帳簿書類を並行して作成していること、又は、作成し直して二種類の帳簿書類が存在している状況であるということです。
 では、実際にどれだけ二重帳簿は存在するかというとことでありますが、ほとんど見ることはありません。私自身も現職時代に750件以上の税務調査を行いましたが二重帳簿と言われるものを把握した事案は数える件数しかありません。数える件数しかありませんが一部をご紹介したいと思います。

売上除外

税務調査での基本は売上除外の検討です。その検討方法は業種及びその調査法人の特徴に合わせて実施していきます。売上で二重帳簿というと売上帳を本当の帳簿と申告用の帳簿が存在するということになります。このような場合、無予告調査をすると帳簿を抱えて外へ出ていこうとする者がいますが、正直、このような事例にあたったこともあります。
 今回、実際にあった事例としては飲食業の事例です。
 飲食業といえば現金商売で、注文で伝票を作成し会計でレジを打ってお客様にレシートを渡すという一連の行為が存在します。今では、POSで注文からレジまで端末で管理するということで売上除外はできないようなことを言いますが、私から言わせてもらうと容易になったと思います。前置きはここまでとして、事例としては、レジを二度打ちするというものですが、同一のレジで行うのではなく、もう一台レジを購入していて、店頭で打ったものは正しいもので、閉店後、その正しいレジペーパーを打ち直して売上を除外し、売上除外後のレジペーパーを税務調査に提示していたものです。

棚卸除外

棚卸除外は利益を調整する目的としては非常に安易に行われる方法です。税務調査の調査項目としては、売上除外と棚卸除外は切っても切れないものです。  ただ、実際の税務調査で、棚卸資産の調査をする際には、棚卸方法を確認し原始記録と棚卸表と突合検討することが多いと思います。棚卸を誰が行うかということになります。従業員の方が実施する企業が多いと思います。この場合、現場での棚卸しは正確に実施され原始記録も作成されます。最終的に集計する際に除外することになるため、一旦、正しく棚卸表を作成し棚卸金額を算出し、利益調整金額を判断することになります。その後、申告用の棚卸金額に合わせた棚卸表を作成します。多くは、正しい棚卸表を破棄し原始記録も除外した部分は破棄しています。破棄し忘れた場合、そこには正規の棚卸表と棚卸除外後の棚卸表が存在することになります。この二種類の棚卸表を把握すると一目瞭然ということになります。無予告調査で把握されることが多いでしょうね。

多くの企業は適正な申告をしていますが、税務調査は申告所得が適正かどうかというのは表向きで、二重帳簿を把握できれば最高でしょうが、滅多に出会うものではないため、不正計算を如何にして獲るかが本音です。

税務総合戦略室便り 第82号(2016年09月01日発行分)に掲載

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