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情報の選択と使い方 
~安易な節税対策のリスクについて(税務調査編②)~

第82号(2016年09月01日発行分)

執筆者12

9月は税務署にとって税務調査最盛期です。そのため、調査官は何件も並行して調査しています。調査に行くだけなら1件当たり2、3日程度であるため、そんなに大変ではないと思われるかもしれません。しかし、実地調査として会社に訪問した後もすぐには終わりません。問題のある取引があった場合には、相手先へ反面調査に行く必要があります。また、銀行に預金内容を照会したりすることもあります。
 最終的に指摘事項が固まったとしても、まだ終わりません。最後に税務署内での審査が待っています。「決議」と言われていますが、この決議書類を作成するのを苦手にしている調査官が非常に多いです。なぜかというと、税務署内で審査を担当する「審理」担当職員の厳しいチェックを受けるからです。
 私も国税局で審理業務を担当していましたが、調査担当から嫌われるぐらい厳しくチェックしていました。申告書上で指摘金額を超える金額の誤りが見つかり、最終的に還付になるケースもあります。その場合には、調査担当者としては、何の結果も残せないことになってしまいます。申告書上での誤りやすい部分等の具体的な審理事例については、またの機会に紹介したいと思います。
 このように最終的に1件の税務調査を完結させるのには、意外と時間がかかります。さらに税務署における上期の締めが12月であることから、9月時点では時間的に余裕があるため、調査官も急いで終了しない傾向があります。調査を受けている会社にとっては、このような税務署側の事情は関係ないですが……。

前置きが長すぎましたが、前号では、実地調査当日の「帳簿調査」の内容及び最近の傾向について紹介しました。

 今号では、続きとして「現物確認調査」について紹介します。

申告書提出から税務調査までの流れ

実地調査当日の流れ

現物確認調査

現物確認調査とは、提出された元帳、請求書等の帳簿書類だけではなく、資料の保管場所、会社の現金管理の状況、社長又は経理担当の机、パソコン、固定資産等の現物を確認する調査のことをいいます。
 税務調査の中心は、前号で紹介した「帳簿調査」が中心であることは間違いありません。そのため、調査場所も会社の会議室内がメインとなります。しかし、深度ある税務調査を行うためには、「帳簿調査」だけでは簡易な誤りしか見つけることはできません。
 以前も記載しましたが、優秀な調査官は、基本的には帳簿書類は信用していません。元帳と請求書等の突合作業には何の意味もないと思っています。これらの書類は合っていて当然であり、仮に誤りがあっても単純なミスしか考えられません。したがって、調査官が最も見たいのは、帳簿書類になる前段階の資料です。例えば会社独自で作成している取引の管理表、取引先とのメールのやり取りや社長のメモ等を把握したいと考えます。現物確認調査で把握されて否認事項につながるパターンで多いのは、意外にも社長と経理担当以外の従業員が作成している書類又はメール等です。営業担当の従業員は、個人又は所属部署の営業成績が重要であり、経理担当に真実を伝えないケースがよくあります。さらに税務調査で直接営業担当の従業員から話を聞いた場合には、経理に詳しくない人も多いため、何が問題なのかよくわからずに事実をありのままに答えてくれることが多く、経理担当がその場で初めて聞いて顔が青ざめることも……。
 現物確認調査を簡単に紹介しましたが、現物確認調査を全く行わずに会議室に籠っている調査官が多いのが最近の傾向ですが……。

税務総合戦略室便り 第82号(2016年09月01日発行分)に掲載

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