昨年9月、弊社はオーナー経営者を対象とした画期的な税務サービスをスタートさせました。その名も、「税金ストレスフリーパック」です。
早いもので、1年が経過いたしますが、お陰様で新しいご契約があとを絶ちません。日々、お客様のお役に立てていることを実感できることは、私にとって何にも代えがたい喜びとなっています。
本サービスの内容は多岐にわたりますが、一言で言えば「社長の税金ストレスを完全にゼロにする」ということに尽きます。会社のことばかりではありません。社長個人や家族まで含めた税金ストレスを完全にゼロにするサービスなのです。
その内容等を前回、前々回と本稿で紹介してきましたが、「もう少し具体的なことが知りたい」という反応を多数いただいています。
そこで今回は、ご契約いただいたお客様にご登場いただき、本サービスの実際の流れをご説明したいと思います。
Aさんは、熊本県で年商5億円の企業を経営されています。創業以来、「オンリーワン」の商品をつくりつづけてきました。
しかし、Aさんの頭からは、税金に対する不安が消えません。そのため今年の3月末に、「会社も個人も見てもらえるところを求めて」わざわざ熊本から上京し、弊社セミナーに参加されたのです。
セミナー終了後のアンケートには「感動的でした」と嬉しい記載をいただきました。そして、サービス内容の詳細についての個別面談を希望されたのです。あとで伺った話によると、このときAさんはすでに契約を決めていたそうです。
弊社からの連絡に「4月8日ではどうか」との返信をいただきました。Aさんはこの日、再び熊本から上京して弊社にお越しくださいました。
応接室に現れたAさんはとてもスマートな雰囲気で、60代という年齢を感じさせません。私にスマートフォンで写真などを見せつつ、自社商品への想いを熱く語ってくださいました。
私は弊社「税務総合戦略室」室長と担当スタッフを呼び、Aさんに紹介しました。そしてご契約からその後の流れまでご説明し、最後に2通の契約書をお渡ししました。
契約書は、一度お持ち帰りいただき、サービス内容にご納得されましてから、合意のサインをして返送していただきます。それで契約成立となります。
個別面談のお客様に契約書をお持ち帰りいただいたら、弊社からはいっさい営業活動はしません。あとは社長の判断だけです。
ところが、それから1週間も経たないうちに、九州で大災害が起きました。平成28年4月14日、熊本地震が発生したのです。
揺れは東京でも感じられました。第一報を聞いた私は、真っ先に古くからお付き合いさせていただいている熊本の税理士の先生のこと、そしてAさんのことが脳裏に浮かびました。安否が気づかわれました。
「個別面談のあとは、こちらから連絡は取らない」というルールを徹底させていましたが、災害時は別です。
私はすぐにAさんへのメール連絡を指示しました。幸いなことに、間もなくAさんから「被害はさほどではなく無事」との返信が届き、心からホッとしました。
弊社は、福島県いわき市に事務所があります。私自身の創業の地であり、現在も多くのお客様にご契約をいただいております。そのいわきの事務所も、2011年に東日本大震災を経験しています。お亡くなりになったお客様もいらっしゃいました。事務所の業務は地震発生から1か月間、停止を余儀なくされました。
今回の熊本地震も、とても他人ごとではありません。被災者を想い、心を痛めております。それでもAさんが無事であったことに、心から胸をなで下ろしたのでした。
Aさんから押印済みの契約書が届いたのは5月下旬でした。地震発生1か月でようやく以前の生活を取り戻し、会社経営の日常に戻ることができたのでしょう。いよいよ、弊社のサービスが始まります。
まずは、お客様企業の「現場」で行う①現状分析調査です。お客様企業および社長個人が所有する資産の全体像を把握するためです。
ただし、その前に準備が必要です。弊社のお客様係、税務コンシェルジュは、Aさんにお送りいただくべき書類を連絡しました。関連会社を含めた過去3期分の決算申告書、個人財産の書類などです。
書類が届いたのは6月初めでした。税務総合戦略室の担当スタッフはその内容を確認し、現状分析調査の準備を整えました。熊本を訪問させていただく日も、6月中旬と決定しました。1泊2日の予定です。
ところがそのころ、九州は記録的な大雨に見舞われており、またしても被災者のみなさんが気づかわれる状況でした。予定していた2日間、熊本ではバケツをひっくり返したような大雨で、東京を出発するときもスタッフ間で「飛行機は飛ぶのか、Aさんの会社まで辿り着けるのか」と不安がよぎっていたようです。
それでもなんとか無事に到着することができ、お客様の現場での現状分析調査が始まりました。
現状分析調査は、次の3つの観点で行われます。
1つ目はグレーゾーンに該当しそうな取引の洗い出し、2つ目はそれまで手を付けてこなかった新たな節税対策の洗い出し、3つ目は経営者が望む未来像の確認と対策だてです。 この最初の現状分析調査は、当サービスの根幹となる重要なものです。
Aさんからは、まず創業から現在までの経緯をうかがいました。そして5年後、10年後にどのような姿を望むのかを語っていただきました。さらに、会社、Aさん、さらにご家族の資産について、あらためて一つ一つ確認させていただきました。
2日間の調査を終えた税務総合戦略室のスタッフたちは、大雨のなか無事に戻ってきました。彼らはこれから1か月をかけて、②報告書作成に没頭することになります。
報告書は、法人と個人のそれぞれについて作成されます。その内容は個々のお客様によって異なりますが、おおまかに次のようなものです。
まず法人では、現状分析調査で明らかになった項目を絞り込み、その「事実関係」 「税務リスク」「対策案」をまとめ上げます。
個人では、仮にいま経営者が亡くなった場合に発生する相続税額が計算されます。そのためには、経営者の資産評価が必要です。もちろん、自社株も含まれます。
自社株の値は常に変動しています。知らないうちにとんでもない高額になっていて、いざ相続というときに大慌てとなるケースは多いのです。そうなってからでは、有効な対策は立てられません。
そこで報告書には、5年後、10年後に自社株がいかに高騰していくのか、そのシミュレーションと対策案が提示されます。法人税・消費税・所得税・資産税の専門家が知恵を結集し、作り上げるものです。
ただし、会社も家族も状況は変化していきます。同時に適切な対策も時とともに変わっていきます。そこで、現状分析調査は毎年一度行い、その時点で最も適切な対策やスケジュールを切り直していきます。
このようにして経営者も顧問税理士も知らなかった「事実」や「対策」が明らかになり、大きなメリットにつながっていくわけです。
たとえば、こんなことがありました。Aさんとは別の、福島県に本社を置くお客様のケースです。
報告書作成の過程で、顧問税理士ではとうてい気づくことのできない難しい問題を弊社の資産税の専門家が発見しました。所得は約3000万円も少なくなり、大変な節税となりました。社長は、大喜びでした。
税は多様です。各税目の専門家がそれぞれの知識や経験をぶつけあって初めて、このような価値あるサービスが可能になるのです。
3番目のステップは、お客様に報告書を提出し、その内容に沿って詳しく説明をしていく「③現状分析報告会」です。お客様にご来社いただき、弊社で行っています。
Aさんは、8月上旬に来社されました。税務総合戦略室の室長はじめ担当スタッフ3名、コンシェルジュ、営業担当の5名でお迎えしました。
お客様はみな、大きな期待をもってご来社されます。奥様やご主人、跡を継がれる息子さんが同席されることもあります。私どもも最善の準備でお迎えするよう、心がけています。
まず、法人の報告です。Aさんの報告書は32ページにもなりました。
わかりやすく解説を加えながら「事実関係」「税務リスク」「対策案」を確認し、「対策案」について説明し質疑を行っていきます。
Aさんの場合、前回の税務調査で指摘された問題点の解消法、関連会社取引における契約内容の整備、棚卸の計算方法におけるリスク等々について報告されました。これだけでも、大きな効果につながります。
Aさんは身を乗り出して報告を聞き、「この場合は?」「もしこうだったら?」と納得いくまで質問されました。自社の実態から導き出された対策案なので、きわめて現実的に考えることができるのです。
担当スタッフの応答にAさんは時折驚きの表情をされ、最後には「これだけしっかり対策しておけば大丈夫」と、笑顔で頷いておられました。
次に、個人資産の報告です。報告書は24ページになりました。
まず、関連会社を含めた自社株の評価です。現状の額に加えて1年後、2年後、さらに10年後までの株価予測値が解説されます。
次に相続税です。変動する自社株も含めて考えられた、10年後までの予測相続税額が報告されます。 60代のAさんにとって、事業承継の時期、それに伴う自社株の譲渡のタイミングが大きな課題でした。
高騰が見込まれる自社株の推移を見たAさんの表情は険しく、報告会の空気は重苦しくなりました。しかし、そのあとの対策案の話になると、Aさんの顔に輝きが戻ります。
担当スタッフから対策案として、暦年贈与、相続時精算課税制度の適用、事業承継税制の適用、持株会社の利用などが説明されました。
そして担当者が、社団法人を活用したさまざまな税制を複合的に組み合わせた対策案の説明をしたときでした。Aさんから感嘆の声が漏れたのです。最後には、満面の笑みが浮かんでいました。
その表情には、会計事務所やコンサルティング会社に何十年も相談しても納得いく提案が得られなかった、その答えにいまやっと辿りついたという、Aさんの安堵感が現れていました。長年のストレスから解放された、爽快な笑顔でした。
報告が終了したとき、Aさんはスタッフにこうおっしゃいました。
「鳥肌が立った。ここまで緻密に分析し、考えられた提案は初めてだよ」
報告書をまとめあげた担当スタッフへの、まさに最大の賛辞でした。
Aさんには、年間を通して提供されるサービスの短期および中長期のスケジュール表、また今後Aさんを担当するスタッフの写真入りプロフィールもお渡ししました。
最後にエレベーターでお別れをするとき、Aさんは「もう税金のことはすべてお任せできる。今まで以上に仕事を頑張ろうという勇気が湧きました」とおっしゃっていました。
オーナー経営者の税金ストレスは、並大抵ではありません。それは決して解消し得ないものと、あきらめられていました。弊社のサービスは、そこにチャレンジするものです。
Aさんのように、ご契約いただいた経営者の方々にはみなさん、大きなご満足をいただいています。
「税金ストレスフリーパック」というこの新サービスは、私の税理士人生の集大成と考えています。ご興味をいただけましたらぜひ一度、セミナーに足をお運びください。
税務総合戦略室便り 第82号(2016年09月01日発行分)に掲載
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