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役員が分掌変更した場合に支給する退職金の損金算入(前篇)

category: 節税法人税
第81号(2016年08月01日発行分)

執筆者3

役員退職金は、オーナー社長にとって一生に一度の退職時に支給される給与です。
 長年にわたる代表者としての労苦に報いる報酬であり、かつ、その税負担割合は月々受け取る役員報酬(給与)に比較して相当に低いことから、この退職金を豊かな老後生活を送るための資金等に使おうと考えていらっしゃるオーナー社長は多いかと思います。
 一方、高額の役員給与の損金不算入規定の適用あるいは損金算入時期を巡る税務訴訟に関する記事を目にすると、役員退職金は高額であるが故、税務否認により新たに負担することとなる税額の大きさ、税務リスクの大きさに括目せざるを得ません。
 今回は後段の「役員退職金の損金算入時期」について、特に代表者(役員)の分掌変更に際して役員退職金を支給したいのだが、法人の資金繰りの悪化がある為、やむを得ず退職金を分割支給することにした場合、税務否認リスクは在るのだろうかという問題を取り上げます。先ず、役員退職金に関する税務取扱いをレビューしてみます。

役員退職給与の損金算入時期

退職した役員に対する退職給与の損金算入時期は、株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度とされています(法人税基本通達9-2-28)。
 But、株主総会の決議等により退職給与の額を定めた場合であっても、短期的には資金繰りが悪く、資金繰りがつくまで支払いを繰り延べざるを得ないことも、法人としてはよくあります。
 そこで、上記通達の但し書きでは「法人がその退職給与の額を支払った日の属する事業年度においてその支払った額につき損金経理した場合には、これを認める。」とし、実際に支払った日の属する事業年度で損金経理することを税務上も認めることとされており、分割払いの都度、損金算入することはできるのです。
 もちろん、本文に従いその額が具体的に確定した日の属する事業年度において損金(未払金)に計上し、翌期以降に分割して支払うことも認められています。

役員の分掌変更等の場合の退職給与

役員を退職してはいないものの、法人が役員の分掌変更等に際しその役員に対し『退職給与として支給した給与』については、その支給が、例えば次に掲げるような事実があったことによるものであるなど、その分掌変更等によりその役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められることによるものである場合には、これを退職給与として取り扱うことができるとされています(法人税基本通達9-2-32)。
 この例示として、詳細な条件は省きますが、(1)常勤役員が非常勤役員になったこと。(2)取締役が監査役になったこと。(3)分掌変更等の後におけるその役員の給与が激減(概ね50%以上の減少)したこと。の3例が掲げられています。
 本来、『退職給与として支給した給与』は退職に起因して支給されるものですが、本通達においては、引き続き在職する場合であっても、特例として、退職給与の打ち切り支給を認めています。そして、この通達を活用して、退職給与を支給している例は数多くあります。

ケーススタディ

事業承継に際して、代表者が非常勤の役員に退き、新たな代表者に経営を任せることはよく見られます。この場合、役員を退職したわけではないので退職するまで、退職給与を支給しないという選択肢もあります。
 が、諸事情から、役員の分掌変更等の場合の退職給与(法人税基本通達9-2-32)。を適用して役員退職金を支給することにしました。
 ところが、代表取締役を退任したとはいえ、未だに非常勤の取締役として法人に関わっており、本人としては法人の資金繰りの現状を考えると、退職金の支給を一括して受けるのは難しい。そこで、3年間にわたって分割支給されることを承諾しました。
 株主総会において、役員退職金の支給額とその支払い方法(分割支給)について承認を受け第一回支払金を退職時に受け取りました。(次号に続く)

税務総合戦略室便り 第81号(2016年08月01日発行分)に掲載

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