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情報の選択と使い方 
~安易な節税対策のリスクについて(税務調査編)~

第81号(2016年08月01日発行分)

執筆者12

税務署の異動時期は7月ですが、最近は異動後すぐに税務調査に着手できるように異動前から調査予約の連絡がきています。そのため、異動後の税務調査は7月中旬以降からスタートしています。
 前号では、ようやく実地調査当日を迎え、まず初日に実施される「概況聴取」の内容及びポイントを紹介しました。
 今号では、その後実施される「帳簿調査」について紹介します。

申告書提出から税務調査までの流れ

実地調査当日の流れ

帳簿調査

「帳簿調査」とは、言葉のとおり総勘定元帳、領収証等の帳簿書類の内容を確認することです。
 税務署の調査で会社に訪問するのは、2日程度です。そのため、この短期間で調査対象期間の全ての科目・書類を見ることは不可能です。調査官は調査項目を取捨選択しなければなりません。
 どうやって調査項目を絞り込むのかというと、今まで紹介してきた準備調査及び概況聴取の内容を参考にします。準備調査において異常数値となっている科目・変動が大きい科目・過去の否認項目をピックアップします。さらに、当日の概況聴取から経理処理・書類の流れ等を把握し、誤りが生じやすい項目をピックアップします。
 このように調査官が調査項目を絞り込んで調査をするとなると、調査を受ける側は、どんなことを聞かれるのか不安になると思います。確かに調査経験豊富な手強い調査官が来た場合には、予期せぬ方向からアプローチしてくる場合もあり、対策しづらいことがあります。しかし、最近の調査官の傾向を見ると、典型的な調査パターンがあると思います。
 典型的な調査パターンの最も代表的なのが「売上げの計上時期」の検討です。所謂「期ずれ」を探す調査です。もちろん売上げの検討は基本項目であり、適正な時期に計上しなければなりません。調査官にとって「期ずれ」は、てっとり早く誤りを見つけることができ、調査の初期段階で誤りを見つけると、その後の調査を安心して進めることができます。しかし、準備調査及び概況聴取等で業種・取引先・会社の経理処理等の会社の特徴を把握すれば、「期ずれ」よりも他に優先すべき調査項目が見えてくるはずです。
 では、なぜ多くの調査官がまず「期ずれ」を探すでしょうか。もちろん誤りを見つけやすいこともありますが、根本的な理由は3つあると考えます。

①選定理由が不明確

税務調査の対象とする会社を選ぶのは、統括官です。最近は、調査件数の増加等によりゆっくり選定している時間がないのが現実です。そこで、国税庁のシステムが抽出したデータを基に調査対象を決定していることが多いため、明確な選定理由がないことがほとんどです。統括官から明確な指示がないため、調査経験が浅い調査官は、まずは「期ずれ」を探してしまうのです。……第77号参照

②準備調査不足

準備調査の内容については、以前に紹介しましたが、次のとおりです。

  • 会社概況の把握
  • 決算書、申告書分析
  • 過去の調査事績分析
  • 資料せん分析

調査件数の増加等により、準備調査に要する時間が取れないため、深度ある準備調査ができず、形式的な準備調査のみで実地調査当日を迎えている調査官が多いのではないでしょうか。……第79号参照

③聴く力の不足

コミュニケーション能力の問題です。前号で概況聴取は会社の特徴を把握するのに最も重要であると紹介しましたが、最近の傾向としてコミュニケーションが苦手な調査官が多いため、会社の特徴を把握できず、どの会社の調査においても同じ調査手法で調査をすることになるのです。……第80号参照

(次号に続く)

税務総合戦略室便り 第81号(2016年08月01日発行分)に掲載

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