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費用の計算について(第2回)

category: 法人税所得税
第80号(2016年07月01日発行分)
元国税調査官・税理士
大柳 和二

税務調査においては、各費用についてその取引内容等を検討し、その費用計上の適否を必ず確認します。
その場合、例えば販売促進費用が交際費等になるか否かは資金的にも大きな影響を及ぼします。
今回は、特に、不動産業を営む法人の調査において、税務署との間で争点になる情報提供料等と交際費等の区分について税務上の取り扱いを説明します。

情報提供料と交際費等

取引に関する情報提供、取引媒介、斡旋等の役務提供に対する報酬については、租税特別措置法(法人税関係)通達61の4(1)-8【情報提供料と交際費等の区分】に規定されています。
 内容は、法人が取引に関する情報の提供又は取引の媒介、代理、あっせん等の役務の提供を行うことを業としない者に対して、情報提供等の対価として金品を交付した場合であっても、次の要件のすべてを満たしている等、その金品の交付が「正当な対価」の支払いであると認められるときは、その交付に要した費用は交際費に該当しないとしています。

  • その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること
  • 提供をうける役務の内容がその契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の対価を受けていること
  • 交付した金品の価額が、その提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること

この通達は、あくまでも「正当な対価」を判断するための一つの基準であり、右記(1)~(3)のすべての要件を満たしている場合には交際費等には該当しないことを明示したものにすぎず、3要件を満たさない情報提供料は「正当な対価」ではなく交際費等に該当する趣旨ではありません。(注)守之会「難解用語の解釈」449頁(平成13年)
不動産売買契約に関連して発生する業務委託費や支払手数料等について、その費用性を判定するときにはこの通達の考え方が基本となります。ここのあらかじめ締結された契約には口頭契約も含まれますので、事後の税務調査のためにも口頭契約又は合意があったことを証するメモ等を保存するとともに正当な対価であることを証するため支払先から請求書を徴することも必要です。

「交際費等の損金不算入額とした金額」 がその後に返還された場合(裁決)

【事案の概要】

不動産売買契約の成立の伴う謝礼金を業務委託費名目で支出し、交際費等の損金不算入額として法人税の確定申告書を提出した。ところが、その後、売主が売買契約を解約したため手数料(交際費等)返還の調停を提起したところその調停により手数料が返還されたものである。

【法人の主張】

仮に、手数料(交際費等)の支出と返還が同一事業年度であれば、交際費等の損金不算入額として加算されないことから、支出の翌事業年度以降に返還されたことにより、交際費等の損金不算入額として所得金額に加算されたままになるのは不合理である。

【裁決】

交際費等の損金不算入制度は、接待等の行為があったときにその行為のために支出された金員等の額を損金の額に算入しないというものであるから、「接待等の行為のための金員等の支出」という事実に対して適用されるものであると解される。
 ところで、措置法61条の4の規定は、企業会計上法人の経費と認められる交際費等について、法人税法の所得金額の計算上は損金の額に算入しないとする別段の定めである。
 しかし、交際費等として支出した金員に相当する金額が、その支出先から返還された場合において、当該返還金額を法人税法の所得金額の計算上、益金の額に算入しないとする法令の定めはない。
 また、本件調停により、本件交際費等相当額が返還されたことによっても、既に行われた本件交際費等の支出そのもの、すなわち、「接待等の行為のための金員等の支出」という事実が存在しなくなったということはできない。
 したがって、本件事業年度において益金の額に算入された本件交際費等相当額を本件事業年度の所得金額から減算することはできない。
 したがって、交際費として処理した手数料が返還された場合は収益に計上するだけになりますので注意が必要です。

税務総合戦略室便り 第80号(2016年07月01日発行分)に掲載

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