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棚卸資産の取得価額

category: 法人税
第80号(2016年07月01日発行分)

執筆者3

購入した棚卸資産の取得価額について、みなさんは通常、納入業者からの購入代価をもって棚卸価格に計上しているかと思います。
 but、法人税法の規定では、購入した棚卸資産の取得価額には、①購入代価のほか、②引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税など購入のために要した費用や棚卸資産を③消費・販売の用に供するために直接要した費用を含める必要があります。
 なお、③の費用については、少額な場合(購入代価のおおむね3%以内)、棚卸資産の取得価額に含めないことができます。

企業会計では

では、企業会計、例えば「中小企業の会計に関する指針」ではどうかというと、棚卸資産の取得価額は以下のように記述され、法人税法の規定と変わりはありません。
 指針の26.棚卸資産の取得価額(1)取得価額(a)購入した棚卸資産では、その資産の購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)とその資産を消費し又は販売の用に供するために直接要した費用の額の合計額

法人税法では

「棚卸資産の取得価額」については、法人税法施行令第32条各号に定められています。
 令第28条第1項(棚卸資産の評価の方法)の規定による棚卸資産の評価額の計算の基礎となる棚卸資産の取得価額は、32条第1項1号定められており、

1 購入した棚卸資産 次に掲げる金額の合計額

イ 当該資産の購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)

ロ 当該資産を消費し又は販売の用に供するために直接要した費用の額(以下省略)という規定ブリとなっています。

実務上、国内で商品を仕入して販売する場合、この規定の イ 括弧書きにある(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税その他当該資産の購入のために要した費用)はほとんど発生しないので、この規定が問題とされることはありません。
 しかしながら、商品を外国からの輸入により購入する場合、保険料、輸送運賃、関税といった費用が多額に発生しますから、この規定が所得金額計算に影響しますし、税務調査においても「取得価額」は検討対象となります。

続いて、同規定の ロ 当該資産を消費し又は販売の用に供するために直接要した費用の額についても、通常は掛らない、あっても極少額であることから問題とされることはありません。
 しかしながら、税務調査でよく問題とされるケースとしては次のような場合があります。
 重量物ではあるが単価は安い商品(例えば鋼材)を仕入れ、自社の商品センター1に一旦搬入し、更に需要に応じて、商品センター2に移動させるといった場合、倉庫⇒倉庫への移動輸送費(Drayage:横持ち費用)が掛かります。この費用もロの規定により原則として取得価額に加算されます。
 ただし、法人税基本通達によって幾分緩和されており、少額(当該棚卸資産の購入代価の概ね3%以内の金額)であれば加算しなくても良いとされています。
実務では、この通達の定めがかなり有効に作用しますが、上記のような鋼材の場合、その費用は3%を超えてしまい、加算することになります。

(参考)法人税基本通達(購入した棚卸資産の取得価額)5-1-1 購入した棚卸資産の取得価額には、その購入の代価のほか、これを消費し又は販売の用に供するために直接要した全ての費用の額が含まれるのであるが、次に掲げる費用については、これらの費用の額の合計額が少額(当該棚卸資産の購入の代価のおおむね3%以内の金額)である場合には、その取得価額に算入しないことができるものとする。

  • 買入事務、検収、整理、選別、手入れ等に要した費用の額
  • 販売所等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額
  • 特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要した費用の額

税務総合戦略室便り 第80号(2016年07月01日発行分)に掲載

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