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税務見聞録~多税に無税~第30回 
税務署と揉める2

第79号(2016年06月01日発行分)

執筆者4

減価償却資産について話をしよう。
 減価償却資産とは、法人税法第2条23号にて、建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。
 減価償却資産についても、その処理については時折?というより、よく揉める事項である。
 どういうことで揉めるかというと、減価償却資産の取得(資本的支出も含む)、取得時期、減価償却開始の時期、除却、廃棄、売却といったところである。

減価償却資産の取得

一般的には、建物を建設、購入、機械装置購入など新規でも中古でも1棟1個1台の単位であれば資産か消耗品かはわかりやすい。しかし、取得でいつも揉めるのは、既存の設備を改修した場合、修繕なのか資産の取得なのかということになる。
 修理改良が①固定資産の使用可能期間の延長又は価額の増加をさせるもの②通常の維持管理及び現状回復のためであるが、非常に具体性を欠くものであるために、常に税務調査により修繕費だ、いいや価値が増しているから資産だと議論になる。しいては、当局は適確な事実認定をしないまま力技で資産であると否認を押し切ろうとする。特に金額が多額であることのみを主張して資産と言い張る。もっとも、理論を構築したうえで説明するというより、説得しようとするから最後は力技で押し切ろうとする。力技もいいが、そこには必ず理屈が必要である。理屈もなく押し切るのは馬鹿げている。
 税理士も保守的に資本的支出として資産計上し、減価償却費として損金計上しておけば、税務署も文句は言わないだろうと考えて安易に資産計上することがあるが、これも論外である。先日も修繕費が多額となるため一部資産計上していた案件があった。納税者はいい迷惑である。確かに、揉めないかもしれないが間違った考えである。  取得時期と償却開始時期

例えば、機械1台を設置して電源につなげば稼働するようなものは、さほど問題にはならないが、複数をつなげて稼働させる場合には個々か全体かによって違ってくる。さらに、問題となる場合は取得月日を仮装していることが多いためでもあり、開始の時期は意外と明白になる。

固定資産除却、廃棄、売却

これらも何かと物議を醸す事項である。
 固定資産の廃棄は、実際に廃棄処分するのであるが、この場合、実際に業者が引き取った事実などから明確であることが多い。売却も同様で業者に売却した事実があるため明確になる。
 除却の場合、固定資産としての耐用年数が過ぎ、又はその使用価値が無くなったことが外形的に明確であることから除却処理することになる。そのため、廃棄とは若干違うニュアンスになる。右記事実により廃棄することは先ほども記述したが判り易い。しかし、除却するということは現物があるから揉める要因であろうと思う。
 たとえば、使用しなくなった機械を工場の生産ラインから取り除き、一旦、倉庫に保管しておいたとする。この場合、その機械の耐用年数が半分を経過していたとする。会社はそのまま減価償却を継続していた。すると税務当局は事業の用に供さなくなったとして減価償却費を否認するであろう。この機械は、今後は今までの生産ラインでは使用することはなく、また、ほかの製品生産に転用することも不可能であることから除却資産と同様であると主張する。すると、除却損処理すべきものであるなら適正な処理に乗っ取って処理がなされていないことになり、その主張も認めないであろう。
 では、同様な状況で残存簿価を除却損として計上した場合はどうであろうか。説明は同じである。難癖をつけて時期尚早といって否認するであろう。
 実物があると除却損として処理しづらいと考える方がいます。外形的にも破損していれればいいのでしょうが、正常な機能のものであると税務署から指摘されるから処理しづらいのでしょう。
 時期尚早とは何とも使い勝手のいい言葉である。
 調査期はダメだけど、来年度ならいいですよ的なものであると思います。要するに、今回の調査で否認したいから時期尚早。来期ならオーケー。何が違うのでしょう。

税務総合戦略室便り 第79号(2016年06月01日発行分)に掲載

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