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元国税調査官のひとりごと 第19回 
同族会社間寄付

第78号(2016年05月01日発行分)

伊藤 徹也

1.寄付金の概要

法人税法上の寄付金は、会社が支払った金銭その他の資産の贈与または経済的な利益の無償供与のことを言いますので、社会通念上の寄付金のイメージとは少し異なっています。
 例えば、親子会社間のような特別な関係にある者同士の取引で、時価より低い価格で資産の売買を行った場合は、その差額は実質的に贈与したと認められるので、寄付金と認定されることがあるのです。

2.寄付金の税務処理

寄付金は、贈与の一形態といえますので、支払った時の経費として扱われます。
 したがって、未払寄付金は経費とは認められません、逆に仮払金等の仮勘定で経理していてもその支払った年度の寄付金として取り扱われます。
 寄付金を無制限に経費と認めた場合、本来課税されるべきはずの所得が、寄付を通じて減り、税金が減ることになるので、言い換えれば、国が会社に代わって寄付をしたのと同じことになります。
 そこで、統一的な限度額を設けてそれを超える金額は経費として認めないということになっています。
 一般的な寄付金の限度額は、資本金等の金額と所得の金額に基づいて計算されますが、国外関連者に対する寄付金は、全額経費に認められません。

3.税務調査におけるリスク

このことから、税務調査において、親子会社間取引は狙われるポイントになっています。
 ある程度経理組織がしっかりした会社であればなおさら、税務調査における最重要ポイントとなります。
 取引に実態があるか、取引単価が、他の会社との取引単価に比較して同程度か、さかのぼって契約されていないかなど、両社の決算状況を対比して検討されます。
 例えば、子会社に支払う業務委託手数料が、実態がなく、寄付金であると認定されれば、限度額を超える部分が経費として認められなくなります。
 子会社が、国外関連者であるような場合は、その全額が経費として認められなくなってしまいます。
 さらには、親会社が黒字で、子会社が赤字のような場合、仮決算を組んでから所得が出過ぎたので、あわてて事業年度首にまでさかのぼって業務委託手数料を支払うようにした場合などは、グループ全体として税金を少なく申告するために契約日付の改ざんをした等と認定され、重加算税まで余分についてくることもあります。

4.完全支配関係における取扱

平成22年度の税制改正によって、完全支配関係にある子会社に対する寄付金については全額損金にならないという規定が創設されました。
 全額損金にならないというと、さらに税務調査リスクが増すように感じますが、実はそうではないのです。
 資産や役務を無償提供したその寄付金は全額損金になりませんが、一方、提供を受けた側の受贈益も全額益金にならないのです。
 いわば「行って来い」の状況になるため、親子会社間の寄付金に対する税務リスクが回避できるということなのです。
 厳密な意味での回避ではありませんが、実務として一方を増額更正して、もう一方を減額更正することになるため、前述したように、親会社が黒字で子会社が赤字のような場合で、かつ、よほど課税上の弊害がないかぎり指摘されることは少ないということです。

5.ストレス解放のために

親子会社間の取引は、事実認定という考え方により判断がされますので、白か黒かが明確に規定がされているわけではありません、そういった意味でも、経営者様の大きなストレスになることが多いのです。
 いつから、どこで、どんな業務を誰がどれくらいの時間行い、その対価としていくらぐらいの金額が妥当かを考えて、関係書類を整えておく等の準備をしておくことで、親子会社間取引に関わるストレスは取り除くことができるのです。
 そのためには、1社1社事情も違いますので、いわばオーダーメイドの準備が必要となります。
 いろいろ注意するところもございますので、くれぐれも安易な処理をしないで、是非一度私どもにご相談してください。

税務総合戦略室便り 第78号(2016年05月01日発行分)に掲載

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