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税務見聞録~多税に無税~第29回 
税務署と揉める1

第78号(2016年05月01日発行分)

執筆者4

棚卸資産、つまり在庫についての話しをしましょう。
 税務では棚卸資産について法令で様々な規定を制定しています。
 法人税法第2条20号及び法人税法施行令第10条、法人税法第29条及び法人税法施行令第28条、法人税基本通達において棚卸資産の意義、範囲、棚卸資産の売上原価等の計算と評価の方法、取得価額、評価損についても細かく定めているのです。税務上の棚卸資産の計算等についてはその状況により変わってきます。
 企業の決算において、決算期末の棚卸資産によって利益金額の数字が違ってきます。決算期末の棚卸資産が多ければ売上原価が小さくなるため利益が多くなります。また、決算期末の棚卸資産が少なければ売上原価が大きくなり利益が少なくなります。そのため、いつの時代でも税務調査では必ず調査項目として検討されます。つまり、棚卸資産の計上が過少であれば否認項目となり修正申告を提出することになります。
 その点でも、税務署と揉める項目のひとつでもあります。

棚卸資産を調査項目とする指針

  • ①売上総利益率が低下している。
  • ②棚卸回転率が上昇している。

このなかで棚卸回転率が上昇していることは、それだけ商品の回転が速いことを示していますので、企業としては効率がいいと考えられます。しかし、同じ商品を取り扱っている場合、この回転率が大きく変動することは少ないため棚卸資産の計上に問題があると想定します。
 そのため、実地棚卸の日時、場所、棚卸実地方法、実地棚卸の担当者、単価の評価方法、集計方法、最終集計者など棚卸資産の金額算出についての過程と結果について聴き取りを行っていくものです。第一優先として数量が把握されているかということになります。

数量が計上漏れとなっている

棚卸の実地方法を聞きとることにより、棚卸漏れがないか、また、棚卸もれとなる要素があるかないかを判断します。要するに、決算書に計上された棚卸表は最終的に集計されたものに過ぎないことから、それまでのプロセスを確認することにより作られた棚卸表かどうかを見極めることになります。
事例として次のようなものがありました。

  • ①実地棚卸の計画の際に、特定の棚、ライン、倉庫といったように実地棚卸を行わないこと。
  • ②全ての保管場所において実地棚卸を実施し、数量を把握しておいて棚卸表を作成する段階で載せない。

単価は正しいか

数量が正確に計上されていると判断すると、次は単価が正しいかということになります。つまり、評価の話しになります。
 棚卸の評価については、評価方法の届出をしなければ、最終仕入原価法のより算出した取得価額による原価法となります。つまり、ある商品を最後に仕入した時の仕入単価が評価金額となります。そのため、多くの企業は棚卸資産の評価方法の届出を提出します。自社の棚卸商品の特性等に合致した評価方法で評価します。また、低価法により原価法と時価のいずれか低い方を採用する方式があります。
事例として次のようなものがありました。

  • ①決算月前の単価を低く設定し翌月その差額を精算することにより、最終仕入金額を低くして評価を下げる。
  • ②実際に店頭に陳列して販売していた商品の単価金額が「0円」となっていた。

評価損

法人税法施行令第68条において、資産の評価損の計上ができる場合があります。
①当該資産が災害により著しく損傷したこと②当該資産が著しく陳腐化したこと③右記に準ずる特別の事実。
著しく陳腐化、準ずる特別の事実といったことは、基本通達で例示されています。よく、形式的な判断で考えられることがあると思われますが、これらの事実を原因とする価額の下落の実質的な判断が必要となります。
評価損はなかなか認められ難いから行わないとの声を聞きますが、上手に利用すれば節税となります。正しい知識を持つことにより問題なく処理ができます。

税務総合戦略室便り 第78号(2016年05月01日発行分)に掲載

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