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消費税のインボイス方式

category: 消費税法人税
第78号(2016年05月01日発行分)

その他

1 消費税法の改正

来年の4月から、消費税の軽減税率制度が導入され、「酒類と外食を除く食品全般」と「一定の定期購読される新聞」が、軽減の対象となる予定です。
マスコミ報道では、「どこまでが外食に該当するのか」等といった議論が、盛んに行われていますが、今後、通達などで明確になっていくものと考えられます。
消費税の議論につきましては、上述しました軽減税率の点ばかりに注目が集まっていますが、個人的には、平成33年から導入予定のインボイス方式も、企業に与える影響が大きくなるものと考えています。

2 インボイス方式

インボイス方式とは、課税事業者が発行する所定のインボイスに記載された税額のみ、仕入税額控除ができるという制度です。
これまでも、仕入税額控除については、請求書等の保存義務の制度がありましたが、インボイス制度がこれまでの制度と大きく異なる部分は、「免税事業者はインボイスを発行できないため、免税事業者からの仕入れについては、仕入税額控除ができない」という点です。このことは、以下のような業種の消費税の納税額に大きな影響を及ぼすことが想定されます。

① 一人親方を外注先として利用している建設業等

建設業等においては、下請け先として、いわゆる「一人親方」と呼ばれるような事業者に仕事を依頼しているケースがあります。
 これらの取引は、外注としての業務委託契約に基づくものなのか又は雇用契約に基づくものなのかという点が判断に迷う部分です。外注の場合、消費税の仕入税額控除が可能となり、会社にとって税負担の軽減につながるため、雇用契約に近い相手先であっても、外注扱いで経理処理している会社も多いと思います。
 税務調査においても、給与と外注の判断はグレーゾーンの部分であり、争点となることがよくありますが、税務当局も職権による更正処分をすることが難しいため、結論がでないまま、調査が終了するケースが多々あります。
 しかし、今後は、先述したとおり、免税事業者である一人親方(基準期間の課税売上高が1,000万円以下であることを想定)に対する支払いは、仕入税額控除ができませんので、元受先の消費税の負担は増大するものと思われます。
 また、建設以外の業種であっても、営業担当の社員に対して、基本給以外のインセンティブ部分を、成果報酬として仕入税額控除の対象としているケースもあると思いますが、この場合も同様に、これらの社員に対するインセンティブ報酬は、会社側では、仕入税額控除ができないことになります。

② 中古品の買取・販売業者

免税事業者からの仕入は、仕入税額控除ができないという点からすると、最も影響を受ける業種は、古本、古着、雑貨、家具、電化製品等を安く買い取り、販売するリサイクルショップではないでしょうか。
 これらの業種は、仕入先の大部分が学生や主婦、サラリーマン等の最終消費者(免税事業者)と想定されますので、制度導入後の納税額は相当増加するものと思われます。

③ 不動産販売業者

不動産販売業の場合、事業を行っていない個人から不動産(建物)を買い取るケースも多いと思いますが、インボイス制度導入後は、同様に仕入税額控除ができないことになります。建物は一取引の金額も大きくなるため、税額計算に大きな影響を与えることになるでしょう。

また、課税仕入側だけではなく、販売者側にも注意すべき点があります。
 通常、新規設立法人の当初二事業年度や基準期間の課税売上高が1,000万円以下の法人は、原則、免税事業者のメリットを享受することができますが、インボイス制度導入後は、これらの免税事業者は、インボイスを発行することができないことになります。
したがって、これらの事業者と取引した場合、購入者側では仕入税額控除ができませんので、免税事業者は、仕入先から外されるケースも出てくるものと思われます。
したがって、今後は課税仕入側も課税売上側も先述した点を考慮した上で、当初の価格設定を慎重に検討する必要があります。

税務総合戦略室便り 第78号(2016年05月01日発行分)に掲載

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